マグレ違ったーー!!!
ナッくんは13日の誕生日に引き戸オープンのスキルを身につけました。
重たい引き戸を、人間が開けるように……とまでは行かないけど、なんとか頑張って開けました。
でもマグレだろうな。
あれ以来まったく開けられてないもんな。
そう思っていました。
昨夜、眠る前にナッくんを引き戸の向こうのキッチンに預けました。
「今日も睡眠時間ほとんど取れないからね。ごめんね、安眠妨害されると困るの」
そう言いながらミルクと一緒に向こうへやると、急いでこっちに来ようとしかけて、ミルクの香りに気づいて足が止まり、まんまと飲みはじめてくれました。
引き戸をピシャンと隙間なく閉めて、私はベッドに潜り込みました。
しばらく静かでした。
ガタン……
ゴトン!
ゆっさゆっさ
ぼんぼんぼん!
引き戸がそんな音を立てはじめたので、私は起き上がり、じっと見守りました。
ガッ
コゴッ
ガタガタガタッ!
なんと……
引き戸がゆっくりと、ゆっくりと
まるで数匹の蟻さんが力を合わせるようにゆっくりと、動き出すではありませんか。
5センチ程開いたところで動きが止まり、少し間をおいて、『ふ〜、疲れた』みたいな顔をしたナッくんがするりと入って来ました。
「ナッくん! マグレじゃなかったんだね!」
私は喜び、彼の胴体をぎゅっと絞るように褒めてあげました。彼も喜んでいて、きゅっ、きゅっ、と鼻を鳴らします。
その後、当然のように安眠妨害しようとして来るので、もう一度キッチンに追いやり、隙間がないよう確認しながら引き戸を閉めました。
くもりガラスの向こうにナッくんが再びチャレンジしようとする顔が見えました。
でもどうやらよっぽど疲れるようです。
すぐに諦めて、姿が消えました。
そのまま私は朝までぐっすり、ナッくんも洗濯機の裏でぐっすり。
うん
なんかいい感じ。