10/23 呼んでみただけ
先日、仕事が早く終わったので、一旦アパートの部屋に帰り、ナッくんと遊んでから病院へ行くことにした。
病院の午後の診察まで時間があったので、ナッくんを思う存分触り、ミルクをあげると、疲れたのか、ナッくんはどこかに入り込んで寝てしまった。
時間調整して、そろそろ出掛ける時間となった。
ナッくんはぐっすり寝ているようだ。
私の口が勝手に、歌うように動いた。
「ナッくん、ナッくん♪」
ここかな? と思い、ベッドの頭と壁のあいだを覗いてみた。
寝ていたナッくんが顔を起こし、『なんだよ?』みたいな表情でこっちを見ていた。
「あ……、やっぱりここだったんだ? ごめんごめん、呼んでみただけだから」
私がそう言っても、何かを期待するようにのそのそと動きだした。
「ごめん! 呼んでみただけだから! 寝とき!」
遂には私の前にやって来て、目を輝かせた。
『なんで呼んだんだ? なぁ、なんでだ?』
ミルクはさっきあげたばっかりだ。
しかも今日、もう二杯あげている。
少量ながら三杯めをあげるしかなかった。
「飼い主、甘いよね〜」と言いながら。





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