4/14 預言
私の預言は不思議に当たる。
車を運転中に、それは降りて来る。
「ひだにゃあ〜んっ」
口が勝手に動くのである。
その少し後に、ひだにゃんことひだまりのねこさんがなろラジ大賞を獲った。
無意識に誰かの名前が口から出る。
近い将来、ほぼ確実にその人に何かが起こる。
いいことか悪いことかはわからない。
しかし、私の口が呟いたその人物に、何か特別なことが起こるのは確実なのである。
最近、私の口がまた預言を告げるようになっていた。
確か、この前の日曜日からだ。
車を運転しながら、私の口が勝手に呟いた。
「なっく〜ん……」
正直、とても不安な毎日だった。
ナッくんに何が起こるというのか?
フェレットにいいことなんて起きるのだろうか?
悪いことのほうが確率は遥かに高そうだ。
ナッくん……何が起きるというの?
昨日、どうやらそれらしきことが起こった。
先代ハルくんは台所と居間を仕切る引き戸を開けることが出来た。
しかも人間のように一瞬でスパーン!と開けてしまう天才イタチだった。
ナッくんはそれが開けられないのが好都合だった。
基本的にうざい子なので、邪魔な時には台所にいさせて、引き戸を閉めてしまえばいいのだ。
それで彼も広いスペースを与えられ、もちろんご飯も水も置いてあり、お気に入りの洗濯機の裏で眠ることもできる。
私は体調が悪い上、とんでもない仕事をさせられていたので、ぐっすり眠りたかった。
引き戸一枚で私は安眠妨害されることなく、ナッくんは一人で自由気ままに台所で遊べる。
それは私がベッドに横になった時に起こった。
閉め切った引き戸が何者かによって、ガタガタ、ぼんぼん、揺らされている。
しばらくしてその音が止まる。
ふー……。諦めたな? と思っていた私の鼻の下を、小さくてしっとりとしたベロが舐めた。
目を開けると得意げなナッくんの顔。
「ナッくん……! 引き戸、開けられるようになったん!?」
あぁ、預言はこれを言い当てていたのだな、とわかった。
大変だ。すぐに彼は布団に入り込んで来て、私の手と激しい格闘ごっこを始めた。足のほうへ回り込んで、ガブガブ噛んでくる。シャツの中に入り込んで思い切り掘ってくる。
眠れるかーーー!!!
ちなみに今、本当に引き戸を開けられるようになったのか、確認するため、仕事から帰るなり台所に隔離してみた。
開けて来ない……。
引き戸を前にションボリ立ってるのがくもりガラス越しに見えている。
昨夜のはどうやらマグレだったようだ……。