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9/29 ナッくんにミルクをあげる喜び
座椅子に座った私の太ももの裏にずっとナッくんが寄り添っている。
ぴとっとくっついて、じーっとそこで待っている。
私に甘えているのでない。
明らかに、何かを待っている。
「ミルクあげようか?」
私が言うと、ぱあっと顔をあかるくしてこっちを見る。
やはり待っていたのだ、私のその一言を。
「ちょっとだけだよ?」
スプーンに三分の一、ミルクの粉を入れると、もうワクワクが止まらない。
ウロウロしては戻ってきて、私が水を入れはじめると立ち上がり、早くくれと手を伸ばしてくる。
「はい、どうぞ」
目を悪魔のように細めて、夢中でピチャピチャ飲みはじめる。
それを見ながらいつも私は喜びを感じる。
大好きなものがあるのって、いいな。
飲み終わったナッくんはいつもとろっとろにとろける。
白いクリームみたいになって、絨毯にほっぺたを擦りつける。
『美味しかった』を全身で表現してくれる。
それを見るのが飼い主の幸せでもある。





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