8/8 フェレットの愛情表現
私が座椅子に座っていると、ナッくんが股のあいだにやってきた。
じっとそこに伏せてるナッくんの頭を撫でると、目を細めて頭をなすりつけてくる。
やがて私の手をペロペロ舐めはじめる。
ペロペロ──
ペロペロ──
がぶっ!
代表的な愛情表現として、ワンコは『舐める』、ニャンコは『スリスリする』、そしてイタチッコは『噛む』だと知ってはいるが、なかなかこの愛情表現に慣れることができない。
動画サイトなどで仲良しのフェレットどうしが激しく噛みあっているのを見ると、いや、痛くないのかよオマエラ……と思ってしまう。
先代ハルくんは甘噛みが上手だったのだが……
ナッくんは放っておくと指がちぎれそうな強さで噛んでくる。
これでもしつけをしてよくなったのである。顔は絶対に噛まない。ベビーの頃は鼻、唇、耳、へんなところ、あっちこっちを容赦なく噛まれて流血しまくった。
手を引っ込めて、ナッくんの噛めるところをぜんぶ隠して、頭部だけを好きにさせてあげると、今度は両前足で掘ってくる。
バリバリバリバリ!
「いたたたた!」
思わず頭も引っ込めると、今度は右肩を掘ってきた。右肩は骨折していてちょうど感覚が鈍くなっている。
バリバリバリバリ!
「あ……気持ちええ」
小さな孫に背中を掻いてもらってるような心地だったので、好きにさせていると、私が抵抗しないのがつまらなかったのか、あっちへ行ってしまった。





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