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7/7 ナッくんを無視してみた 【写真あり】
仕事から帰ると、ナッくんがお迎えに出てきて……くれなかった。どっかで寝ているようだ。
買い物してきたものを片付けて、座椅子に私が座ると、ようやくノソノソと、まだ眠たそうな顔で出てきた。
『おかえりー。……ミルクは?』
虫の居所が悪かったわけではないが、なんだかナッくんのことを無視したくなった。
『これ、なんだ?』
私が買ってきたお魚のフライをクンクンする。
無視して私はビールを飲む。
『なーなー、いいもん、ない?』
私の腕をペロペロしてくる。
無視して私はお魚のフライにかぶりつく。
『おいおい、おれが見えてるか?』
膝をよじ登って、私の顔を覗き込んでくる。
ナッくんの存在など見えないように私はふるまうが、顔がどうしても笑ってしまう。
『おーい? おれを見ろ』
ついつい笑いながら撫でてしまった。
ミルクをあげよう。





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