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4/3 負ける……
足を投げ出して座椅子に座り、スマートフォンを見ていた。
何かあったかいものが、むこうずねの上に乗っかってきた。
見るとナッくんが前足を私の足にかけ、乗っかってきている。
ナッくんは私に何かしてほしいことがある時、私に痛い目を見せる。
噛みついてきたり、爪でバリバリ掘ってきたり──
してほしいことがあったようだ。
私のむこうずねにかけた前足の爪を立て、引っ掻いてきた。
バリバリバリバリ!
「痛いよ!」
思わず掴んで引き寄せ、叱った。
「痛い! 痛いの! わかる?」
顔を近づけると、鼻の頭をペロペロ舐めてきた。
かわいいので、笑って許した。
ナッくんにはいつも負ける。





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