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ナッくん日記【フェレットとの生活】  作者: しいな ここみ
2024年 3月

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3/8 怖いナッくん

 私はナッくんを怖いと思ったことがない。


 夜、ふと目が覚めると至近距離でじーっと顔を覗き込まれていることがある。

 何を考えてるのかさっぱり読めない無表情で、小さな肉食獣が夜中に私を見つめている。でも怖くない。むしろかわいくて、こちらもじーっと見つめ返してしまう。


 人間とは違う生き物なのに、ちっとも怖くない。


 植物はよく怖いと思う。

 黙ってそこにあるだけの意思のないものに生命があると思うと、不気味に思う。

 放っておいたら地球はこんなもので覆い尽くされてしまうのだと考えると、恐ろしくなる。


 芸能人の女性がどうぶつと触れ合う番組か何かで、チーターがいきなり立ち上がるのにビビって腰を抜かす有名な動画がある。

 あれはわかる。人間を食べる肉食獣はもちろん怖い。

 私も逃げようとして足が動かなくなってその場に尻餅をつくことだろう。


 ナッくんは赤ちゃんの頃、私を流血するほど噛んだ。

 フェレットは小さいとはいえ肉食獣だ。

 でもその時から怖いと思ったことは一度もない。


 今でも結構痛いほどに噛んでくることはある。

 フェレットの牙は成人の指でも簡単に食いちぎるという。アメリカで赤ちゃんの指を何本も食べてしまったフェレットの事件があったことも知っている。


 なぜこんなに怖くないのだろうかと、時々不思議になる。





 最近、私が足を乗せるマットの下によく隠れている。

 さっき気づかずに踏み潰しかけた。

 ナマコかアメフラシを踏むような感触に慌てて足を止めた。マットの下から無邪気な白いイタチが顔を出して、じゃれついてきた。


 ナッくんは怖くないが、私の足に対する警戒心のなさすぎるナッくんのことは、怖い。




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