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1/30 どこがかわいい?
私が座椅子に座り、足を伸ばすとナッくんがそこに登ってきた。
ぴんと伸ばした足先に立ち、ライオンのように偉そうにこっちを見てくる。
「ナッくん、かわいいね」
『どこが?』
「えっ?」
『おれのどこが、特にかわいい?』
そう聞くように、私の足の上を通って、近づいてくる。爪、痛い……。
「顔がかわいいよね」
『じゃあよく見せてやろう』
私の胸を登り、鼻と鼻をくっつけてきた。
つぶらな瞳、ピンクの唇──
「かわいいっ!」
思わず両手で顔をにぎっ! とした。
『やめろーーー!』
後ろに逃げるナッくんの顔がチャウチャウみたいになる。
ミルクをあげるとナッくんは目が吊り上がり、悪魔のようになる。この連載の最初のほうに写真も載せた。
変わらない。
変わらないなあ……、ナッくんの顔。
それでもなんだか若い時よりかわいくなってるように見えるのはなぜだろう。





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