1/4 ナッくんはトコトン癒やしてくれる
スマホゲームをやっていた。
座椅子に埋まって、エアーキャップを潰すように、ハマっていた。
このゲーム、課金させるのがうまい。
とにかく『あとちょっと』というところでゲームオーバーになり、『あとちょっと』を続けるためにはお金を払わないといけない。
パズルゲームで、上下左右にブロックが並べば消えるのだが、これが不思議なほど斜めに並ぶ。斜めだと消えない。
「……あっ、また斜めかよ」
ブツブツ呟きながらゲームをする私。
「おいーっ! そこでなんでずれるの!? おかしいやろ!」
だんだんキレはじめる私。
「ありえーんっ! すべて斜めに並んでるやん! インチキやろこれ! そこまでして課金させたいか!!」
遂にブチギレる私。
「うわーーーっ!!! なんであたしこんな糞ゲーにハマってんのーーーっ!!?」
その時、ベッドの頭と壁のあいだから声がした。
「きゅ……」
思わずくすっと笑わされてしまう私。
何を熱くなっていたんだろう。
何を思わず今日2回目の課金をしてしまいそうになっていたんだろう。貧乏なのに。
ゲームをする手を止めて耳を澄ましていると、また聞こえてきた。
「きゅ……きゅうぅぅ〜……ん」
気持ちよく眠っているようだ。
ナッくんの寝言にはいつも笑わされて、心穏やかにさせられてしまう。





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