423/701

12/26　ナッくんアンテナ

　ナッくんは寝床から出てくると、まずはアンテナを張る。

　首を上に伸ばし、鼻を高く突き上げて、おいしいものの匂いがしないかを探索するのである。

　その時に私がちょうどミルクを作っていたりすると、嗅ぎあてていそいそとやってくる。

　ナッくんが熟睡していた。

　ガサゴソと音を立ててもまったく起きてくる気配がない。

　しめしめ。チョコアイスを食べるチャンス。

　冷凍庫からホームランバーのファミリーパック『バニラ味＆チョコ味』からチョコのほうを一本取り出して、食べはじめた。

　何かいい匂いを感知したようだ。

　ナッくんが寝床からひょこっと出てきた。

　アンテナを立てて、それをゆるゆると動かして、何かの匂いを探っている。

　こっちに来た！

　私は必死で隠した。

　彼が『おい、何食べてる？』みたいに迫ってきても、チョコアイスを必死で隠して食べ続けた。

　フェレットにチョコは毒なのだ。

　バニラだったら分け合って食べるけど（ほんとうはこれもよくはないのだろうけれど）、チョコを食べさせるわけにはいかない。

　ナッくんのことを思って、一人で食べきった。

　私が隠れてチョコアイスを食べている間、ナッくんは執拗にいい匂いの発生源を探し求めていた。

　私が食べきり、匂いが消えると、『なんてことだ』みたいな顔で立ち止まり、私のほうをじっと見ながら固まっていた。

　冷凍庫からもう一本、バニラ味を取り出して、一緒に食べた。