12/10 ハルくんとナッくんの大きな違い
ハルは何よりも人と遊ぶのが好きな子でした。
公園へ連れて行けば、出会う人みんなに『遊んで、遊んでー!』
部屋で私と二人きりの時も、とにかく遊び出したら止まりませんでした。
二度ぐらい、遊んでる途中にハルの目が重たくなったことがありました。
少し高いところに登って、私のほうを見つめて、『楽しいよ。君もおいでよ』みたいにはしゃぐ姿を見せたかと思ったら……
まぶたがだんだんと閉じそうになるのを必死でこらえてる。
どう見ても限界なぐらい、眠そう。
それでも遊ぶのが楽しいのか、無理してでも目を開けて、ぴょんぴょん飛び跳ね回ってました。
「眠たいんやろ? はい、寝よう」
そう言って私がベッドに誘うとやってきて、いびきをかいて眠ってしまいました。
ナツは何よりもミルクを飲むのが大好きな子です。
楽しく遊んでいても、私がミルクを作りはじめると目の色が変わり、遊ぶのをやめます。
食べることにほぼ興味がなかったハルもおやつのフェレットバイト(フェレットのちゅ〜るみたいなもの)だけは大好きでしたが、なんとなくそれも『遊びのうち!』みたいに見えただけに、ナッくんのミルク好きはハルの遊び好きに相当するものに思えます。
ハルが私をじーっと見つめるのは『私が好きだから』、ナツが同じように見つめるのはしかし『ミルクをくれるひとだから』というように思えてしまいます。
そしてナッくんは眠たくなるとすぐに自分の寝床にトットコ戻って行きます。
ミルクを作れば眠気が一瞬覚めるらしく、でも飲み干すとすぐに寝床に帰って行きます。
仕事から帰っても、熟睡していたら二時間ぐらい出てこないこともあります。
ハルは私が帰ると必ず出迎えてくれました。
ここまで書くと、ハルのほうが優秀で、ナツは薄情でダメなペットのように思われてしまうかもしれませんが──
そうではないのです。
ハルは『これは絶対、好きなはずだ』と、フェレット用のおやつをあげても、食べてくれませんでした。
ゼリーも、ジャーキーも、ササミ缶も、高級カリカリも、すべて食べてくれなかったので捨てました。
ナツは『これは絶対、好きなはずだ』というものは、今までササミ缶を除いてすべて好きになってくれました。
こんなもの口にしないだろうと思うようなものまで食べてしまいます。すぐに取り上げるけど。
ハルくんは、私に色んなものを、くれました。
ナッくんは、私に『色んなことをしてあげる喜び』をくれています。
そしてミルクが大好きでも、彼がミルク飲み中に私が外へ出ていこうとすると、たたっ!と追いかけてきます。
全然違うけど、どちらも同じぐらい、かわいいのです。