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11/26 おいで
座椅子にもたれて、私がスマートフォンで小説を書いていると、ナッくんが起きてきた。
小説をシコシコと書いている私の横を通り、何かを探している。
私の後ろを通ってまた前に出てきた。
立ち止まって何かの気配を窺っている。
声をかけてみた。
「ナッくん、おはよう」
ぴくんと反応した。
しかしこっちは向かない。
何かの気配がするらしいほうをじっと見続けている。
「ナッくん、おいで」
そう言っても新たな反応はない。
「ナッくん、おいで。来たらミルクあげよう」
そう言うと、こっちを向いた。
じっと私を見ているが、足は動かない。
「おいで」
たたっ!
すぐにやってきた。
やっぱりフェレットにかける言葉はシンプルなほうがいいようだ。
まっすぐ私の顔を見つめながらやってくるナッくんがかわいすぎて、思わずニヤけてしまいながらミルクを作ってあげた。