11/15 ふろしきナッくん
先代ハルくんはスーパーのビニール袋が好きだった。
中に潜り込むと、すぐに出てくるのだけど、その時に必ず取っ手の部分を首にひっかけてマントのようにしていた。
ナッくんはスーパーのビニール袋には興味がない……
……と、思っていた。
お風呂に浸かってまったりしていた。
静かだ。
とても静かだ。外の音が換気口を通って浴室にまで聞こえてくる。
ガサガサガサ……
ん? いやこれ、部屋の中でしてる音だ。
ガサガサッ……! カサコソカサ
ナッくんだな? 何をしてるんだろう?
ガサガサッ……! ガサガサガサ……
気になった。
そういえば仕事から持ち帰った保冷箱が置きっぱなしだ。
ナッくんは常温に戻って柔らかくなった保冷剤がとても好きなので、箱から盗み出してどこかへ隠そうとしてるのかもしれない。
浴室の扉を開けると、ナッくんがすぐそこにいた。
入口の段差に前足をかけて、扉が開いたことに喜んでいる。
その首にはミニサイズのスーパーのビニール袋が引っかかっていて、まるで風呂敷を背負っているみたいだった。
まるで昔の漫画に出てくる泥棒のかわいい版だ。
「か……かーわいー!」
思わず声をあげながら首から外してあげたが、しばらくその姿が目に焼きついた私はニヤニヤ笑いが止まらなくなった。





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