3/25 ナッくんのいたずらが変わって来た
『ポッキーケース』なるものが私の部屋にはある。
ただの百均で買ってきたポッキーサイズで蓋のできるプラスチックのケースのことであるが。
これが必需品なのである。
ポッキーを紙箱のまま私が食べていると、盗っ人がサッと口にくわえてどこかへ持って行ってしまうのだ。
ナッくんは紙箱が大好き。
アルミの袋も大好き。
甘い物も大好き。
好きの三重奏ともいえるポッキーは、彼のいたずらの対象となって当然ともいえる代物なのである。
フェレットにチョコレートは毒である。板チョコの1/3が致死量だと聞いている。ゆえに絶対に口に入れさせるわけには行かない。
そこでポッキーケースが絶対に必要なのだ。
プラスチックのケースをナッくんはくわえられない。ツルツルすべる。
とはいえ、はっきりいって、面倒臭いのである。
ポッキーを一本取るたびにいちいちケースの蓋を開けるのは、正直ストレスである。
それでたまにうっかり私がケースから出してポッキーの箱をそのまま置いていると、
サッとイタチがくわえて持って行く。
座椅子に座った私の足の上をわざと飛び越えて、こちらを横目で見ながら、彼のお宝倉庫に持って行ってしまう。
私が声を上げて追いかけると大喜びである。
空箱の時は私が追いかけないのでとてもつまらそうである。
最近、いたずらのしかたを変えたようだ。
ポッキーの空箱をサッと取って逃げるまでは同じだが、
そのままお宝倉庫へ持って行くのではなく、ベッドの上に飛び乗って、こちらをじっと見つめるようになった。
どう見ても挑発している。
『来いよ。取ってみろ。おれを捕まえられるもんなら、捕まえてみろ』
キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャンである。
面白いので乗ってあげる。
彼が取ったのが空箱でも構わない。ふふふ。よし、闘おう。
私がベッドの上に飛び乗ると、すぐには逃げず、ポッキーの空箱をくわえたままその場で小躍りする。
私の横を素早くすり抜けて行こうとするのを難なく捕まえる。
「捕ったどー!」みたいに私が持ち上げると、ポッキーの箱をくわえたまま、ご満悦。
やはりポッキーが欲しいというより、どうやら私に構ってもらいたいだけのようだ。