10/15 ナッくんはなぜポッキーの箱に執着するのか
起きてきたナッくんが私にベタベタしてきました。
横になって腕の上に乗っかり、手首をがしっと両手でもってペロペロしてきます。
私がテキトーに手を動かしてかまってあげていると、その程度では満足しないぞと、怒ったように立ち上がりました。
私がさっき食べきって床に置いていたポッキーの空き箱がありました。
ナッくんはコイツを見つけると必ず盗って行き、秘密のお宝倉庫に持っていきます。
がしっと口にくわえました。
『取ったどー!』みたいに高く掲げて見せびらかします。
テレビ台の裏へ、私から逃げるように走り出しました。
まぁ、その一連の動きがいつも面白いので、わざと取らせるつもりで置いておいたものなので、べつにいいのですが──
『なぜナッくんは、ポッキーの箱にあれほど執着するのだろう?』
ふと考えてしまいました。
記憶を辿りました。
ナッくんに初めてポッキーの箱を取られた時のことを……
あれは確か、ナッくんがまだ生後3ヶ月ぐらいだった時のこと。
私は床に置いたポッキーの箱からポッキーを取って食べていました。
ちびナッくんがそこへやって来ました。
まさかこんなものに興味を示すとは思わず、私は油断していました。
ナッくんが入ってるポッキーの箱を、おもむろにくわえました。
「あっ……!」
慌てる私。
「それはイカン! ナッくん!」
チョコはフェレットに毒。
どこかへ持って行こうとするちび夏を、私は座椅子から慌てて立ち上がって、必死で追いかけました。
途中で捕まえて、口から無理やり取り返したのですが……
ああ……なるほど。
あの時必死でかまってもらえたことが、よっぽど楽しかったんだな。





by