325/769
6/24 ちょっと待ってね
私はダラダラ人間だ。
座椅子の斜め右後ろにクッションを置いている。
座っているのに疲れたらゴロンと寝転び、それを枕にする。
そのクッションの上が最近、ナッくんの指定席だ。
ふと斜め右後ろを見ると、そこで寛いでいる。
仰向けになって、じーっとこっちを見ていることも多い。
『かまってくれ』と誘っているようだ。
かまってあげたいけど、スマホゲームをしている時、私は忙しい。
『ちょっと待ってね、ナッくん。もう少しで2,000面行くから。集中したい』
じーっと私のほうを見て、待っている。
『あっ! 失敗した! やり直し!』
私が悔しさに腕を動かすと、ナッくんの腕も動いた。私の手が伸びてくると思って迎えようとしたようだ。
『よしっ。あと1面! これ達成したらかまってあげるから、ちょっと待って』
立ち上がって、横から私の腕を噛んで引っ張る。
『出来たー! お待たせナッくん、遊……』
右斜め後ろを振り向くと、いなくなっていた。





by