2/20(その2) 雨上がりの公園で
天気がよかったので散歩に連れて出た。
先週連れて行った時にやたら愛嬌があって人気者になってたので。
今日も色んな人にチヤホヤして貰えるかと期待して行った。
寒かった。
おまけに雨上がりで地面がしっとり。
そのせいか、人は少なかった。
しかしナッくん、歩く、歩く。
どうしたの? ほんの少し前までずっと外ではプルプル震えてしがみついてたのに。
公園デビュー1年も経ってようやく内弁慶卒業したか?
でも、寒かった。
人も少ない。
「今日は早く帰ろっか?」
私は言うが、ナッくんはノリノリで歩いて行く。
遊具のところにはいくらか子供達がいた。
「わー、何ー? その動物ー?」
「かわいいー」
遊具の上から聞いて来る子供たちににっこり答える。
「フェレットだよー」
「フェえっとー?」
「しあなーい」
「かまなーい?」
「うん。うちの子は噛まないけどね、ちゃんとそうやって聞くの、えらいね」
ナッくんが狭いところを通ろうとするのでリードから手を離した。
引っ掛かってハーネスがずれ、胴がギュッと締めつけられないようにだ。
するとそのままナッくんが遊具の床下の狭いところへ入って行ってしまった。
フェレットは狭いところ、小さい穴の中が大好きだ。
心配はしない。一通り探検したらいつもすぐ顔を覗かせ、私のほうへまっすぐ戻って来る。
しかし、出て来ない。
狭い隙間を覗いても姿が見えない。
「ナッくん? ナッくーん?」
基本的に鳴かない動物なので返事もない。
寒かった。
なかなか顔も覗かせない。
子供たちも心配してくれた。
「入っちゃったの?」
「おーい?」
「寝ちゃったんじゃない?」
まさかそんな場所で寝てしまうとは思えないが、不安になって来た。
潜って行ったところの一角に向けてもう一度、呼んでみた。
「ナッくん? 帰ろう」
ひょこっと黒い顔が覗いた。
うちのフェレットは真っ白なはずだ。こんな黒い生き物知らない。
『ぎゃあああ』と、思わず心の中で声が出た。
ずるずるずると遊具の床と地面の間から這いずり出して来たのはタールのような黒い泥で真っ黒になったナッくんだった。
帰ってすぐにシャンプーをした。先週もしたばっかりだった。
シャンプー大嫌いなので月に一度しかいつもはしないのだが、仕方がない。
これから天気がよくても雨上がりの散歩はやめておこう。