5/4 ナッくんがかわいすぎて辛い
ナッくんは耳掃除が嫌い。
嫌いだけど、簡単に捕まって、観念したように私の膝の上に力なく横たわる。
あくびが止まらない。
緊張した時にフェレットは何度でもあくびをする。
あくびをすることで気を逃しているらしい。
耳掃除クリーナーを一滴、耳の中に垂らすと、水に濡れた時のようにブルブルッ!と首を振る。
一滴では足りないのでもう一滴。またブルブルッ!
綿棒を耳の中に入れると、ぎゅっと目を閉じてガクガク震え出す。
あくびは止まって固く口を結び、短い前脚を出してなんとか抵抗しようとしている。
構わず綿棒で掃除する。
一週間もすれば結構汚れてる。
「はい、終わったよ」
解放してあげると逃げかけて、すぐに戻ってくる。
耳掃除のあとはご褒美のミルクがもらえると知っているのだ。
お皿を持ち上げてミルクを作っていると、『早く! 早く!』と立ち上がって覗き込んでくる。
「はい、どうぞ」
床に置くと、夢中で飲みはじめる。
あんなに嫌なことをされたのに、喜んでいるナッくんがかわいい。
かわいすぎて、なんだか辛くなる。
……と、思っていたら、ガサガサと音がする。
テーブルの上に置いていたおつまみのソーセージの袋を取って逃げて行こうとするナッくんを捕まえた。
袋の中にまだ10本近くはあったはず。
確認するまでもなく、中は空っぽ。
テーブルの下を見ると、床の上にソーセージが散乱していた。
こんないたずらフェレット、いらんわ!
今から外へ捨てに行きます!
ナッくん『おるぁー! 捨てれるもんなら捨ててみぃー!』





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