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ナッくんと共喰い
「ナッくん……」
『ん? どうした?』
「お腹空いた……」
『おまえ、この1週間ほぼポップコーンしか食べてないもんな』
「ナッくん食べてもいい?」
『いいけど食べるとこ少ないぞ?』
「ここがうまそうだと、前からずっと……」
『ん? ああ、お尻な。自分でも思ってた』
「がぶっ!」
『うまいか?』
「うまい! うまい!」
『うまいかー。ハハハハ』
「いっぺんに全部食べるのもったいないから残しとくね?」
『残しても新しく生えてはこないぞ?』
「ナッくんがいれば食糧には困らないね」
『じゃあ、次はおれがおまえを食う』
「手でいい?」
『この、親指のつけ根がうまそうだと、前から……』
「あー、そこね。私も思ってた」
『かぷっ!』
「そこ、違うよ。そこは親指と人差し指の間の、水かき」
『おれ、おまえのここが好きだ』
「ああっ……! 噛んで持って行こうとしないで!」
『秘密基地に貯蔵してやる』





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