258/769
3/8 換毛期がまたやって来た
私がポッキーの箱を置いていると、ナッくんが奪いに来ます。
『おっ！ これは秘密基地に運ばねば……』
そんな感じで大きく口を開け、箱をくわえ──
「こらっ！」
私が捕まえようとするのを待ってから、喜んで小躍りしながら逃げはじめます。
まぁ、空箱だからべつにいいんですけどね。
捕まえようとしてあげないとナッくんがつまらなそうだから、手を伸ばして捕まえようとしてあげます。
本気で捕まえる気がないので、私の指はナッくんの背中の毛をつまむだけです。
『ヒャッハーっ！ 捕まえてみろォー！』
空箱をくわえたナッくん、大はしゃぎで逃げて行きます。
テレビの後ろへスキップして入り込みました。
ナッくんの背中の毛をつまんだ指を、じっと見る私……。
ごっそり。
たんぽぽの綿毛のようなものがそこにありました。
春だなあ……。
by