1/16 フェレットのツンデレはベタベタしたがりすぎる飼い主には合っている
ナッくんがテーブルの向こうから顔だけ覗かせていたり、
私が脱ぎ散らかしたジャンパーの中からお尻を出していたりする時など──
あまりのそのかわいさに、私は思いっきり抱きしめたくなる。
そしてそれは簡単だ。
「なっきゅうんっ!」
抱き上げ、抱きしめ、頬ずりする。
『やっ……、やめろーっ! やめろ!』
とても嫌そうな抵抗に遭う。
くねくねくねくねと身をよじって嫌がりながら、脱出してくれやがる。
飼い主は寂しい気持ちになる。
もっとぎゅっとしたり、もふもふしたりしたいのに……。
でも、寂しい気持ちは長続きはしない。
逃げたフェレットは、すぐに戻ってくるのだ。
『もっとしても……いいぞ』
そう言いたげな顔をしながら。
「なっきゅん! なっきゅうんっ!」
嬉しくなって再び抱き上げ、抱きしめると、ジタバタとまた逃げ出す。
「してもいいんじゃなかったのかよ!」
『そんな顔をしてみただけだ』
そう顔で言いながら、また向こうからベタベタしてくる。
ツンデレなのだ。
これが猫なら、機嫌さえよければいくらでもオモチャになってくれるところだ。
逃げ出すにしてもフェレットほど嫌そうに逃げ出しはしない。
もしもそんなふうに猫に逃げ出された時は、嫌われた時に違いない。
フェレットは嫌がっても嫌がっても、離れれば寄ってくる。
『かまえよ遊べよミルクくれよ』という顔をしながら。
どれだけオモチャにしてやっても嫌われたことはない。
飼い主の過ぎた欲求を抑えてくれながら、いつでもかわいい顔をまっすぐに見せてくれる。
ナッくんのほうからは一方的にいくらでもベタベタしてきてくれる。
そんな距離感がちょうどいい
……
のだろうか……。
本音を言えば、もっと私からもベタベタしたい!





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