12/17 かまって! かまって!
寝転んで小説を書いていた。
私は大抵寝転がった姿勢で小説を書く。
ゆえにツールはいつもスマートフォンである。
枕にしているクッションを、裏から激しく掘る音が聞こえた。
頭を起こして振り向くと、白いイタチが仰向けになって、クッション越しに私の後頭部を掘ろうとしている。
口を結び、つぶらな目を怒らせて。どうやらかまってほしいようだ。
「ナッくん、何しとん」
そう言いながら私が頭をぎゅっと掴むと反撃してきた。
私の手を両手で抱え込み、おおきな口をサメみたいに開けてハグハグしてくる。
「はい、かわいい、かわいい」
全身をモフってやると、『やめろー!』みたいに逃げ出した。
手を離すとぴたりと動きが止まり、『もっとやろうよ』みたいに戻ってくる。
それを笑わされてしまいながら何セットか繰り返し、疲れた私が再びスマートフォンに向き直ると、今度は直接後頭部を掘りにきた。
「いたたたた! ……こらっ!」
頭を鷲掴みにして動きを封じてやると嬉しそう。
短い手を伸ばして反抗する。足も出た。
でも口は噛みつくのをやめてペロペロしてくれる。
30分ぐらいそうしていたら、何を書こうとしていたか忘れてしまった。





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