10/18 ナッくんの水で、水割りを飲む
ウィスキーを飲んでいた。
いつもは『クレイモア』というスコッチを愛飲している。
口当たりがよくて、香りが甘くて、大のお気に入りなのだ。
私はこれを何かで割ったりはしない。
ストレートが一番うまいのだ。
しかし、どこでも売ってないマイナーなブランドである。
いつも買っているお店で売り切れていたら、代わりに何か他のを買うしかない。
買いに行ったところ、売り切れていた。私の他にもファンがいるようだ。
仕方なく他のを買おうと思って見ると、ホワイトホースが安かったので、それにした。
買うのは初めてだった。
有名なので美味しいのだろうと思ったら、私には合わなかった。
辛い。ただ、もう、ひたすらに、辛い。
クレイモアの甘さが好きな私には、好みの正反対だった。
「何かで割るしかないな」
そう思い、とりあえず一番身近な『水』で割ってみた。
水割りにすると美味しくなった。
クレイモアは水で割ったりしたらもったいないのだが、これは水割りでこそイケる。
ガンガン飲めるようになった。
途中、ナッくんがやって来て、豆乳でも入ってるかと期待するように、紙コップに入ったホワイトホースの匂いを嗅ぎ、失望したように立ち去って、すぐに寝た。
あっという間に一杯飲みきり、お代わりしようとした。
台所まで行って水を入れるのが面倒くさかった。
ふと目の前を見ると、ナッくんのミルクを作る用にペットボトルに入れてある水が、目に入った。
ナッくん用というだけである。
綺麗なものである。
ナッくんとはいつもチュウしているので、たとえナッくんがそれに口をつけていても、私がそれを汚いものと思うはずがない。
しかし、私は躊躇してしまった。
スーパーで猫缶と人間用食糧を同じ袋に入れるこの私が。
ペット用の水を水割りに使うことに、躊躇してしまったのである。
結果、その後3杯も、ナッくん用の水で水割りを飲んだのだが、あの躊躇の意味がわからなかった。
なぜ、私は、躊躇したのだろう?