9/15 ちょっと安心した話
仕事から帰ると元気にどこからか現れたナッくん。
『おつおつ〜。ミルクくれ〜』
頭をひと撫でし、そのままお風呂場へ。
浴槽を洗っていると、後をついて来て、私のしていることをじーっと観察。
『何してんだ? そんなのいいから早くミルクくれよ』
お風呂を入れながら浴室の扉を閉め、自分のごはんの用意。
今日はうどん玉が安かったので二袋買ってきた。鶏の天ぷらをして、冷やし天ざるうどんにするつもり。
鍋にお湯を沸かしながら、居間に戻っておちゃけを飲む。
「ふ〜……。疲れたなあ……」
そう思いながら、なんだか気になる音が、キッチンのほうから聞こえてくる。
カン、カン、カカン、カンッ
プロパンガスのボンベを割り箸で叩くような音。
なんだ、この音?
ナッくんがまたいたずらしてるのかな?
でも、あんな音のするもの、あったっけ?
お風呂のお湯は5分ほどで溜まる。
うどんのお湯も沸いていた。うどん玉を投入して、お風呂場の扉を──
開けるなり、中からナッくんが飛び出してきた!
えー!? あたし、閉じ込めちゃってた!?
気づかなかった……。てっきりキッチンにいるものだと思ってた……。
『熱かったんだからな!』
涼しい居間に走って行きながら、振り向いて抗議する。
『開けてくれー! って、ガラスをカンカン叩いてたのに! おちゃけなんか飲んでやがって!』
そうか。
さっきのあの音……
ナッくんが浴室の中からガラスを叩いてた音だったんだ……。
必死に助けを呼んでたんだな。
ちょっと安心した。
何しろ声らしい声をまったく出さないので、
もしもどこかに閉じ込められるようなことがあっても、探し出してあげられないよなと思っていたので。
ちゃんと『助けてアピール』できるんだね!
お詫びにすぐにミルクをあげると機嫌を直してくれた。