7/3 遂にナッくんにミルクよりも好きなものが……!
ナッくんの1番好きなものといえばミルクだ。
子猫用のミルク。日清のでも森永のでも、日本ペットフード『ミオ』のでも、どれでも好きらしい。
誕生日プレゼントは結局ケーキではなくミルクおかわりになった。そのほうがナッくんもたぶんよかった。
溶けきらずにダマになってるところが特に好きらしい。
そんな世界一大好きなミルクを越えるものに、ナッくんが遂に出会ってしまった。
暑いのでファミリーパックのアイスクリームを買って来た。
『モナ王』バニラだ。
ナッくんはアイスクリームも好きで、私が食べているといつもねだりに来る。
本当はよくないのわかっている。でも私が美味しいと思うものをナッくんも美味しがってくれるのを見るのは幸せだ。
ついつい少量分け与えてしまう。
でも、いつもなら、『もっとくれ』と欲しがるけれど、私が「もう終わり」と禁止したらあっちへ行っていた。
『モナ王』を袋から開けるなり、遠くでナッくんが反応した。
『なんだ、これは? いい匂いがする』みたいに、私の持つ『モナ王』を見つめている。
いそいそと近づいて来た。私の『モナ王』をハンターのように見つめながら。「だめ!」と言ってもしつこい。
少量、お皿に入れてあげた。
夢中でペロペロするナッくん。
いつも食べ方の雑なナッくんが、お皿までペロペロ丁寧に舐め終わると、素早くこっちを見た。
目が真剣だった。
『なんだ、この素晴らしく美味しいものは!』と、その目が言っていた。
私は『モナ王』を高く掲げて、上を向いて食べなければならなくなってしまった。登って来るのだ。情熱的な目をしたナッくんが、『モナ王』をまっすぐに求めて。
絶対体にはよくない。心を鬼にしてお代わりはあげなかったが、食欲に火がついてしまったらしく、カリカリを狂ったように貪ると、すぐ寝るかと思いきや、やたらと部屋中をウロウロしはじめた。どうやら『モナ王』を探し回っているようだ。普段は入らないカーテンの裏まで入り込み、それを探し続けていた。
他のバニラアイスではこんなことはなかった……。
『モナ王』には何があるというのだろうか?