当代の魔皇帝
ここは、魔大陸の中央に位置する皇宮にある魔皇帝の執務室。
面倒な会議を終え、人払いをしながら、執務室にて大量の書類の山を積みをみて溜息をつき席につく現魔皇帝である。 手紙の束を片付けながら独りぐちる。
「ダメもとで魔王様に手紙を書いたが、今日も返事はないか」と溜息をつき、「冗長しつつある純魔族と愚息を改めさせるには、魔界の魔族が適任なんだが、どうしたものか。」と愚痴り「魔皇帝とは名だけだな」とまた溜息をつくのだった。
「へぇーなんか人間社会みてーだな」と黒のビーニー帽子でグレーのフード付きパーカーに黒のカーゴパンツを来ている容姿端麗な10代後半の男がタバコを加えながら突如現れる。
突然の青年の登場に、魔皇帝は目を見開き驚くが落ち着きをとりもどすのだった。
「お初におめにかかります。 私が10代目魔皇帝でございます。 黒帝様」と席からたちあがり頭を下げる。 「へー、魔皇帝にはちゃんと伝わってるんだな」と俺がいうと、「ええ、初代と次代からの伝承がございます。 6代の愚王がご迷惑を」というのだった。
「まぁーあん時から、来てなかったが、見た目はかわんねぇーが内情は昔と全然ちがうみたいだな」と俺が指摘する。
「お恥ずかしい話です。 魔界からの魔族がいらっしゃった時は、みな個々で自由でしたが、今は個々は失われつつあります。 それに嫌気をさした魔界の魔族は、いまは北のほうでひっそり集落を作っております。 それも今や5名ですが、彼らが一番魔族らしいです」という魔皇帝は苦笑いしている。
「へぇー、でもなんで、そいつらに依頼しねーんだ?」と俺が聞いたら、「もうみな高齢です。 それにここの魔族達は彼らをみな知ってますから。 力も魔術もかないませんから5人衆として尊敬されてますよ」というのだった。
なるほどな、そういう事か。
「ここの魔族のレベルも下がったわけか。」
「お恥ずかしい限りで、でなければ見た目主義にはならないのですが。。 理由もわからずです。 それで、今回のご訪問の理由は?」と魔皇帝に聞かれた。
「あー、一応適任者いんだけどよ、今の魔皇帝が愚王じゃねーかの念のため確認だ。 おめぇーなら大丈夫そうだな」と俺がいい、「んで、どうする?」と他のほうを向くと、そこには身長163CMで濃紺の髪に瞳は赤色で、肌は陽褐色で少年のあどけなさをのこしたやや美少年が、黒のフード付きのパーカに、7分丈のカーキのカーゴパンツ姿で現れる。
「うん、暇つぶしだったらいいぞ」という少年は、「でも、1人はいやだから、ゲールつけるぞ。 あと長いのもいやだぞ」というのだった。
そんな少年の登場に、魔皇帝が「え!この質は!」と驚く。
「気付いたみてーだな。 さすがだ。 見た目は適任だろ。 まぁ、抜けてるがな。」と俺が笑いながらいい、「んじゃぁ、シリル、暇つぶししとけ。 例の件も念のため傍観しとけよ」というと、「うん、わかったぞ」というシリルだ。
とりあえず、俺の仕事である今回の顔つなぎは終わったなって事で俺はその場から次元ゲート開いて帰る事にした。あとはシリルがなんとかするだろう。
◇◇◇
執務室に残る、魔皇帝とシリル。
魔皇帝が慌てだす。
「御みずからお越しいただけるとは、」と言われ、「今はシリルだぞ。 任務内容を言えだぞ。 あと報酬は借りだぞ」と言っておく。
「すみません。 シリル様」とまだ恐縮する魔皇帝だぞ。
「シリルでいいぞ」
「では、シリル。 承知しました、依頼内容ですが」といって、依頼内容をシリルに説明する。
説明が終わると、うーん暇つぶしだけどちょっと面倒だぞ。 受けた以上しかたないんだぞ。
「いつからだ?」
「ちょうど今日から2か月後です。
できれば、その1週間が数日まえまでに一度お越しいただけるとよいのですが?」
魔界軸でいうと、約2週間後だぞ。
「うん、わかったぞ。 あと、これ連絡用だぞ」と言って、俺は袋を渡した。
「これ対になってるぞ。 片方に物いれると転送されて、もう片方の色がかわるぞ。 次元もこえられるから大丈夫だぞ。」というと、魔皇帝が「助かります」といい、「ただ、シリルの魔力の質は感知できるものは、それほど多くないのですが、魔力量を今の半分に抑えていただけるとよいのですが」と言われてしまったぞ。
「お!これでも魔力制御で結構おさえてきたぞ。 うん、わかったぞ。 最上級数発分ってことだぞ」
「ええ、それで十分かと。」
「じゃぁ、また今度だぞ」といって、俺も一度帰るぞ。