プロローグ
あるときの彼は私に優しい。
またあるときの彼は私に冷たい。
あるときの彼は私の友達。でも、またあるときは違う。親しく会話をする日もあれば、目も合わせず無視される日もある。
彼がどうして私への振る舞い方を変えるのか、どうして彼にはふたつの表情があるのか、私にはさっぱり分からない。ただひとつ分かることは、親切な友達の彼も、私を無視する友達でない彼も、どちらも同じ彼だということ。それすら私には信じられないけど……しかし同一人物であることに変わりはない。
3年前、私の前に颯爽と現れた彼は、どっちの彼だったのだろう。私が目で追っていた彼は、どっちの彼だったのだろう。
きっと彼にも事情があるのだと思う。その事情を私も知りたい。
これは完全なエゴだ。私が踏み入るべき場所ではない。でも、彼の2つの表情をどちらも間近で見た私は、どうして彼が異なる振る舞いをしなければならないのか、どうして彼が異なる表情を持たなければならなかったのか、それを知らずにいることはできなかった。
これを聞いたら、親切な彼が消えてしまうかもしれない。そうなれば、私は後でこの選択を悔やむのだろうか。
制服に腕を通そうとしたとき、指先がかすかに震えるのを自覚した。自分で思っている以上に、今日は不安なのだ。今日が始まりなのか、終わりなのかが分からないから。そして恐らく、何かが始まることはない。しかしそれでも、せめて終わらないでほしいと願いながら、待ち合わせ場所に向かう。
という訳で始まりました。最後までお付き合いいただけますと幸いです。
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