9/9 バ美肉ラジオ 覚え書き
【ロコとちゃちゃ丸のバ美肉ラジオ】
毎週水曜配信 21:00~
REALITY内で好評配信中!!
毎回トークテーマを決めて、ロコとちゃちゃ丸が雑談とか妄想を思う存分思うままに繰り広げます。
見ていただいた方向けに、配信内で生まれた秀逸だった作品のアーカイブを残します。
みんなの反応よくてめちゃめちゃうれしかったぜ。
9/16追記
バ美肉ラジオのアカウントを作りましたので、
そちらにも移行しています。
2020年9月9日(水)
トークテーマ
『こんな少女漫画が読みた~い!!』
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「エビでクジラを・・・」
原作:ロコ
第一話:
クラスメイトが人気モデル!?
主人公はどこにでもいる高校生、海老名満月
実家が遠く、社会経験も兼ねて学校の近くで一人暮らしをしている。
唯一の趣味はYouTubeでの動画徘徊、将来は映像関係の仕事に就きたいと思っている。
最近はVtuber、魚京くじらが最推しで、マイナーVtuberながらも話が面白いくじらの配信を、満月は見逃したことがないくらいにハマっている。
そんな満月は春休みのある日、隣に引っ越してきただらしない恰好の隣人と出会う。
「変な人が越してきちゃったなぁ……スウェットに穴開いちゃってるし。うーん、何だか嫌な予感がするなぁ」
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そして新学期。今日から満月も二年生。朝、登校するとクラスメイト達がなにやらざわついている。教師も心なしかそわそわしているようだ。
「今日は新しい仲間を紹介する!……入ってきなさい」
なんと、やってきた転校生は、今をときめく人気モデル「カイ」こと水砂海だった!
第二話:
人気モデルがアパートの隣人!?
そんなある日、隣人がゴミ出しをしようとしているのを目撃する満月。
すべてのゴミを一つにまとめてあり、あまりにもゴミ出しマナーが悪いので思わず注意してしまう。
「そんなに言うなら、ちょっとゴミの分別を手伝ってほしいんだけど」
もともと面倒見のいい性格の満月は声をかけてしまった手前強く断ることもできず、そのままなし崩し的にゴミの分別を手伝うことになってしまう。
話をきくうちに、彼はどうやら同じ学校の生徒だということがわかる。
「でもこんな人学校にいたかしら?最近転校してきたばかりの水砂くんじゃあるまいし……」
ふとアパートを振り返ると満月の隣の部屋の表札は「水砂」になっている。
「ひょ」
「ひょ?」
「ひょっとして……ご、ご兄弟…?」
そう、目の前の穴の開いたスウェットの男は水砂海だったのだ。
まさか私は今まさに人気モデル、カイの飲んだコーラのペットボトルを分別していたとは……
第三話:
アパートの隣人が推しVtuber!?
「もうこんな時間か、俺はこの後予定があるんだ。悪いんだけど後はアンタがやっといてくれ」
そう言って部屋に戻って行く海。
「ちょっと!…もう!私だってこの後くじらの生配信があるのに!!」
取り残された満月は憤慨しながらも一人ゴミを分別するのだった。
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その夜、魚京くじらが久しぶりに生配信をした。
「最近引っ越ししてようやく落ち着いたから活動を再開します」
「そういえば、引越し早々、近所の親切なおばさんがゴミの分別を手伝ってくれたんだ。いやあ良い隣人を持って嬉しいよ」
配信に聞き入る満月の部屋に、外を走る救急車の音が鳴り響く。すると、モニターの中のくじらがこう言った。
「……ごめんごめん、外で救急車が通っちゃったね」
も、もしかして…くじらの正体って……水砂くんなの…!?
それにしても、私のことをおばさんだなんて……!!
ゆ、許すまじ………!
第四話:
Vtuberの秘密
翌日、下校時にアパートの前でたまたま出会った海に、満月は昨日の配信のことを思い切って聞いてみた。
すると、海は恐ろしい形相で満月よ手首を掴み、そのまま家に連れ込んだ。
「どこまで知っている?誰に話した!?」
海は事務所で内緒でVtuber活動をしているため絶対に身バレするわけにはいかない。そのために起きた出来事に嘘を混ぜて配信中に話していたのだった。
それで私とのことをおばさんと言っていたのね……
くじらの正体については誰にも話してないこと、そしてこれからも秘密にするつもりであることを海に伝える満月
満月の必死の弁明に心を開く海
「フッ…おもしれー女」←これ言いたい
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改めて海の部屋で、出された紅茶を飲みながら部屋を見回すと配信機材が目に入る。
「ところで、こんなにいい機材を持ってるのに、なんでこっちの使いづらい編集ソフトで動画を作ってるの?機材が揃えられなかったり、初心者だったらこれでも問題ないと思うけど……」
「実は俺、パソコン関係あんまり強くなくて……」
「も、もしよかったら私が編集のお手伝「本当か!?助かる!!」
第五話:
忙しい日々
海が演者として表に立って撮影、撮れた動画を満月が編集という二人体制の配信が始まった。
日々の活動報告をするTwitterや、くじらを使った映像作品を発表するInstagramなど、
海だけでは思いつかなかった活動を次々に思いつく満月の力で、魚京くじらは更なる活躍を続けた。
二人の地道な努力で徐々に再生回数も増え、やがて魚京くじらは人気Vtuberとして世間に認知されていく。
そして二人は、Vtuberの動画投稿イベント「V-1グランプリ」への参加を決意する。
「どうせやるなら、目指すは優勝だろ?」
「うん、そうだね。私、海くんとならできる気がする…!」
第六話:
思い出話になる前に
そんなある日、海の携帯が鳴る。
それはマネージャーからの電話で、有名な映画監督スピルブン・スティーバーグとルージ・ジョーカス兄弟から、
ハリウッドでの長期撮影のスケジュールの打診があったことを知らされる。
返答は水曜日までに。とのことだった。
「きっとこの話を受ければ、魚京くじらは活動休止になると思う」
「……え?」
「こんなこと相談できるのお前だけだし……お前はもう一人の魚京くじらみたいなもんだから、一応聞いとこうと思って……」
「そんなこといきなり言われても………私だってわかんないよ…!!」
満月は考える。
ファンとしては、Vtuber魚京くじらがいなくなってしまうのは悲しい。
クラスメイトとしては、モデルのカイの活躍は素直に喜ばしい。
では、海老名満月としては……私は水砂海のことはどう思ってるの?
モヤモヤした気持ちのまま、しかし残酷に日々が過ぎていく二人。
第七話:
終わりと別れ
決断を下す水曜日の早朝、二人の住むアパートは海の下の階から出火する。
「満月!起きろ!!火事だ!!」
海にたたき起こされた満月は、逃げるよりも先に、海のパソコンと撮影機材を運び出すために、火の中に飛び込もうとする。
「なに考えてんだ!バカヤロー!!!」
海は満月を羽交い締めにして止める。
「くじらが!二人のV-1グランプリの動画が!」
「機材も動画も替えが効くだろ!!」
「……だって!」
それでも諦められない満月の頬をビンタする海。
「俺の大事な編集は一点モノなんだよ!!」
ーーーー
泣きながら焼け落ちるアパートを見る満月。
海曰く、撮りためた動画はクラウド上に保存しているからV-1には参加できる。
「これが二人の最後の動画だ」
満月と海は一つのスマホの画面からV-1グランプリ応募ページの「動画を投稿する」ボタンを一緒にタップする。
二人の指先が触れる……
最終話:
エビでクジラを・・・
全焼したアパートを引き払い、海のその後も確認できないまま、満月は失意の中で新しいアパートへの引っ越しをしていた。
「いやあ、災難でしたな。まさか一階に住んでた底辺YouTuberがマッチで火遊びをする配信をしていたとは!」
「はい……」
不動産屋さんの言葉も上の空な満月。
「ああ、言い忘れてたんですがね、今日このアパートはもう一人新しい入居者が入ることになっとるんですよ」
「?…………っ!!」
そこには、スソが少しだけ焦げた、穴の開いたスウェット姿のだらしない格好の男が立っていた。
「ちょっとアンタ、引っ越しのゴミの分別を手伝ってほしいんだけど」
「海くんっ!!」
ーーーー
ゴミを分別しながら話す二人。
結局、海外移住を断ったという海。
「俺ってホラ、演技するよりもモデルの仕事が好きだし」
「うん、でもちょっともったいなかったね」
「それに朝は断然味噌汁派だし?そもそも英語喋れねーし、あの監督の映画も四作目以降は見てないし」
「そっか……」
「それに………魚京くじらのファンにも定期的にエサを与えないと、一体どんな悪質なストーカーになることやら」
海はそう言って満月に笑いかける。
「……気をつけないと、とんだ大物を釣り上げることになるかもよ?」
仕返しとばかりに上目遣いに答える満月。
「それならもう手遅れだ」
引っ越し業者のトラックに隠れるようにしてキスを交わす二人
「こっちはもう釣り上げられてる」
「…………」
赤面する満月とハッと我に帰る海。
「……と、とりあえずは機材揃えるまでは昔使ってた初心者用のソフトとやらで動画編集をだな……」
「そ、そうだねっ!これから忙しくなるねっ!!」
そこへ宅配業者が現れる
「水砂さん、配送が遅れてすみません。転送前のお届け先が焼け野原になってて驚きましたよ。ああ、ここの受取人欄にサインをお願いします」
荷物の差出人は『V-1グランプリ』
荷物の伝票の品名には『V-1グランプリ優勝賞品(最新Vtuber配信機材一式)』
どうやら二人の忙しい日々はまだまだ続きそうだ……
fin
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