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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

青の神子

作者: 頓挫ヨナ

 どんなに綺麗な宝石もたくさんのかしずいてくる使用人もいらない。


「ラピスラズリ!僕の青い宝石!こんなところにいたんだね…。」


 俺が昔からどうしても欲しかったのはそんなものじゃないんだ。


「あぁ。やっと見つけましたよ?まったく世話のやける小鳥だ…。やっぱりあなたには私がいないと駄目なようですね。」


 ただ一人、俺が大好きで俺を大好きな人がそばにいてくれるそんな生活だけを望んでいたんだ。


「悪かったな、迎えに来るのが遅くなっちまって…。こんな…こんな場所で過ごさせちまうなんて…。でももう俺間違えねぇから!」




 ……。なんてそれっぽく語ってみても現実から逃げられるわけじゃないよな…。

 さて!俺の名前はリキ!ターリャの村に住む元気な17歳の男の子だ!間違ってもラピスラズリだとか小鳥なんて名前じゃないよ!そんな俺の前にはキラッキラしい洋服にこれまたキラッキラしい髪の我がイデア国第二王子に、クッソ邪魔そうな長髪にクッソ動きにくそうなひらひらを着た大司教。さらには甘い面で遊び人っぽい騎士様が仰々しくお供を連れてともに帰ろう!と懇願という名の命令をしながら立ちはだかっている。


 え?なんで一村人の俺がそんな奴と知り合いなのかって?それには胸糞悪くも涙なしには語れない俺の過去が関係している。




 この国には神子がいる。…正確にはいた、だ。神子とはこの国を創始した神により遣わされるとされる癒しの力をもった人のことで、高貴なる青を(しるし)としてこの世に現れ、その存在を探し出すことができるのは神の血を引く王族だけだといわれている。


 もう分かったと思うが、俺は2年前まで神子として神殿に君臨していた。しかし、俺を探し出すはずの現王の第一王子が真実の愛を見つけたとやらで駆け落ちしたせいで国は荒れ、捜査権限が第二王子に移されてやっと捜査が開始された。その時にはすでに神子が現れたというお告げから4年の月日が流れていた。いやもうこの時点で俺の人生は国に、とりわけ上層部に迷惑をかけられていたわけなのだ。


 神子は神の御子であり人の体からはうまれない。文字通りこの世に突然現れるのだ。そのため本来ならば生まれてすぐに保護されて育つはずだった俺には親がおらず、人の世で生きるため、力が開花するまでは人と何ら変わりのない俺はたまたま通りかかった親切な者に教会に預けられた。が!この預けられた先の神父というのがこれまた絵に描いたようなくそ野郎で!!もともと貴族の落ちこぼれが金の力で神父になったため青の徴のことも知らず(これには俺の青が爪だけというなんともしょぼいことも原因だが)、教会の子供たちを虐待はするわ、人買いに売り飛ばすわ、ともかく散々な目にあった。



 その後は、売りに出される際に爪をみてやばいと思った人買いが神殿に報告してくれたために俺は保護されることになった。そこは確かにありがたい。うん。ありがたかったし、実際に俺は後見人となった大司教になついて初恋まで捧げたのだ。婚約者となった第二王子は上流階級に馴染めない俺を気遣ってくれて俺が神子じゃなくても好きだとかいわれて、この人のためなら厳しい、そりゃもう厳しかった。下町で育ったからとかなんとかで教育係は俺のことを汚らわしい!と、少しでもできないと棒でたたいてくるのだ。そんな教育を必死でこなしたし、神子付きの筆頭護衛官は俺のために命をかけるなんて誓いまで立ててくれた。



 神子の仕事として人を癒すために国を巡礼する傍ら、将来の王妃として寝る間も惜しんで働いた。辛かったけど、俺を愛してくれる人たちのためにも頑張る日々はそれなりに幸せで気付けば人間でいう十四の年になっていた。



 そんな時だった。本物の神子が現れたのは。



 そいつは異世界というところからやってきたミノルと名乗る少年だった。新年の儀式を執り行っている最中に突如として現れたそいつはとても愛らしく、何より青の瞳を持っていた。



 国は神聖な儀式を邪魔した無礼者に混乱したが、青を持つ者を殺すわけにもいかない。そもそもなぜ青の徴が二つもあるのか。ミノルは神子であるのか確かめるために保護されることになった。



 そして、結果はミノルが本物の神子であると宣言された。



 愛らしく身分というものを考えないミノルの態度に目をひそめるものはいたが、俺の後見人や護衛官、そして何より俺の婚約者殿には違って見えたようで。本当にこの世に親を持たずに現れたかもわからず、爪などという染料でごまかせる青の徴を持つ俺よりも、皆の前で突如現れ目というはっきりとした青を持つミノルが本物の神子であると。身分を気にしない態度は神の神子として当然のことであり、より下賤な人間らしいおれは偽りの存在だと俺の成人を祝い、聖婚を発表するはずの多くの民も集まる場で宣言された。



 それからは、子供のころ神父のもとでの暮らしが懐かしく感じるほど散々だった。愛を誓った婚約者に捨てられ、長年そばにいてくれた後見人には汚らわしいと蔑まれ、命を懸けると誓ってくれた護衛官には引きずられて街中に打ち捨てられた。



 俺は、多分、すごく悲しかったけどそれだけだったら平気だったのかもしれない。俺が何より悲しかったのは、寝食を削って癒し、将来守っていくはずだった国の民に裏切り者!と、偽物!と、罵られ、石を投げられ、食べ物も屋根のある場所も恵んでくれなかった仕打ちだった。



 俺がやってきたことは何にもなっていなかったのだ。そう思うともう駄目だった。きっと本物の神子ならなんの見返りも求めないのかもしれない。でも俺は困ったら助けてほしかったし、愛してほしかった。やっぱり俺はみんなの望む神子じゃないんだ。

 死ぬほど苦しかったけど俺は死ななかった。俺を捨てたやつらの望み通りになってたまるかこの野郎!と半分意地になっていたんだと思う。金の髪も白い肌もなにより綺麗に大事にされてきた青の爪も泥にまみれてわからなくっていたが、スラムで暮らしながら、冒険者ギルドの雑用をこなしてなんとか生きていった。



 そんなある日、荷物持ちとして同行していた冒険者パーティーが欲をかき、かなうはずもないAランクの魔獣に手を出した。もちろん敵うはずもなく俺は囮として足の健を切られて置いて行かれた。

 周りが何と言おうと俺は神の神子としての能力がある。だから自分のけがもすぐに治して逃げることができた。だけど、また捨てられたのかとショックに打ちひしがれているうちに魔獣はすぐそばまで迫っていた。



 あ。さすがに死んだわこれ。


 

そう思った瞬間。3メートルもある四足の魔獣は真っ二つに裂けた。なにを言ってるか分からないと思うが安心してくれ、俺も何が起こったのか全然分からなかった。あれ?魔獣って割れるんだっけ?なんて呑気に考えていたら、その後ろから大きな人影が現れ声をかけられた。




「あっ…あの!大丈夫ですか!?怪我してませんか?すみません、俺がもっと早くに駆けつけられれば…。」



 男は茶色の髪に薄い琥珀の目のどっかの民族っぽい恰好をした優しそうな男前だったが、なんだ、これ。え?なに?こいつが割ったの?え?真っ二つにこの魔獣を?え?人間なの?とか考えていた俺は、連日飲まず食わずにろくに寝ていなかったせいもあり頭がキャパオーバーになってそのまま気絶した。



 起きたら真っ二つ男の宿ベットの上で、ギルドで一目惚れしてストーキングしていたと告白され、何やかんやで親せきに会いにこの国に来ていただけだというその男に村についていくことになった。そして、結婚していた。

 いやぁ、これは怒涛の二週間だった。偽物神子として宣言されて捨てられたときよりも怒涛だったね、うん。ぶっちゃけ流されて結婚はしたのだが、知らない間にいっぱいいっぱいだった俺に毎日毎日飽きもせず好きだというこいつにほだされ今では相思相愛で、隣のケイオス君23歳(独身)には「万年新婚夫婦め!」と涙ながらに褒められるほど幸せである。




 な!の!で!

 今更ミノルが偽物で”チョーキシヨウカラコン”という異世界のもので瞳の青を偽っていただとか、お前らも騙されていたとか、本当は俺を愛しているんだとかはどうでもいいんだよ!!!帰れ!!






 その後、騒ぎを聞いて駆け付けた旦那が力ずくでも俺を連れ帰ろうとしたやつらをコテンパンにやっつけたとか、ミノルまで村にやってきて旦那を誘惑しようとしてスラムで鍛えられた俺にボコのボコにされるとか、神子の力を求めて皇国の皇太子までやってきて逃げるために世界を旅する俺ら夫婦の話はまた今度にしようと思う。

付け足しですが…。


世界観

よくあるファンタジー異世界。魔獣がいて冒険者ギルドが存在する。ランクはE~S

E:駆け出し冒険者一人で対応可能

D:冒険者5人がかり

C:ベテラン冒険者 倒せるようになれば一人前

B:ベテラン冒険者3名で対応可能

A:ベテラン冒険者パーティーで対応可能

S:個人での対応不可 軍規模での対応

ベテラン冒険者というのはとにかく慣れている人です!ここら辺は設定ふわふわです。すいません。

男が妊娠可能、というか女性の存在しない世界

これはいろいろ考えるのだ大変だったので、この世界を創った神様がそんな趣味だったと軽く流してください。



旦那

辺鄙ではあるが、周囲の魔獣が高レベルのため村の住人がみんな強い。10歳位の子供がB級モンスター位なら倒す。強いていうならラスボス前の村。その中でもハンターとして生活しているため激強。ギルドで人目を避けて真面目に雑用をこなしている主人公に一目惚れ。ふらふらしており心肺でそのまま500メートル後方からストーキングしていたら魔獣に襲われていたのを見て助けに入る。気絶した主人公を宿に連れ帰り、目覚めたのでパニックって告白したところお礼を言われたので了承したと勘違いしてそのまま村まで嫁として連れ去り結婚。普段は真面目で優しい性格だが主人公が関わるとポンコツに。




もっと旦那との絡みをかきたかったのですが、とりあえず夢に見たのを補足したものなのでここらへんで…。

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