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天才プレイヤーは魔物と化す。  作者: 海野 豚太
3/3

初めてのレベルUP!

「そうですね。ではまず、透様のステータスから拝見させて頂きましょう。(看破"ステータス)」



 その瞬間、カティファスによって発動された(看破)のスキルは、余す事なく透の体内情報を汲み取り、カティファスへとその情報を、数値化して送り届けた。



 透は、カティファスが何かしらの魔法とも思われる様な怪しい術を行使したのを知って、驚きを隠せずにはいられなかったが、同時に自分が過去に居た場所とは全く違う世界にいる事を、よりはっきりと再確認した。



 その様子を、透の緊拍とした雰囲気だけで察したカティファスは、新たに手に入れたステータスを透の脳内に移し替える事で透の興味を意識的に自己のステータスへと向かせ、少々の雰囲気緩和を成功させた。



―――――――――――――――――――――――――――――



  砂虫(サンドワーム) LV.1


  HP. 500/500

  MP. 500/500

  DP. 500


 スキル

 のたうちまわる

 ※身体全体を使って周囲に30ダメージ。限られた砂虫が使用出来るレアな技であり、この技で倒れるのはせいぜい、ちっちゃな虫ぐらい。

 MP. 250消費。


 称号

 ―――


―――――――――――――――――――――――――――――


 透は、唖然とした。

 HPやMP、DPの値の基準は分からず、高いのか低いのかさえ分からない透だが、本来は攻撃手段として用いられるであろうスキルは、自身の半分のMPを持っていくのにも関わらず、「ちっちゃな虫」しか倒せないその現状に、驚きを隠せなかったからだ。


「こっ、このステータスって砂虫的にはどうなんですか?」


「そうですね、砂虫というのはHP,DPが基本的に高めであり、MPは大抵持っていない場合が多いんですよ?その点で言えばレア個体と言えるでしょうがね。」


 そう言って、意味有り気に言葉を切ったカティファスは、言外に透のHPやDPが、他の砂虫と比べ低い事を指し示していた。



 序盤にして、いわゆる「詰んだ」状況にあった透は、更にカティファスの次の発言によって不安をより一層、掻き立てられる事になった。


「貴方のステータスは、随時念じれば表示される仕様にしておきましたので、これで私が居なくても発動できる筈です。これでチュートリアルはお終いです。ではごゆっくりとこの世界をお過ごし下さい。」


 ―――

 ――

 ―






 チュートリアルが終わり、早5年。透はひたすら虫を狩り続けたが、それでもLV.アップすることはなかった。

 しかし、それでも透は諦めず、ひたすら虫を狩り続けるのであった。 

 この世界では、初期状態でMPが無い者には通常攻撃というスキルが与えられる。それによって彼らは経験値を稼ぎLV.アップを目指すのだが、生半可にMPを与えられた透は攻撃手段がのたうちまわるしかないため、一向にLV.アップが果たせないのであった。


 ―――

 ――

 ―






 そして、6年めに差し掛かろうとしたある日、遂に透はLV.アップを果たしたのであった。


 ピロリロリーン♪


―――――――――――――――――――――――――――――



 砂虫(サンドワーム)LV.2


  HP. 550/550

  MP. 550/550

  DP. 550


 スキル

 のたうちまわる


 常化スキル

 吸収

 ※大地からエネルギーを吸収する。常にMPが1自然上昇。


 称号

 ――


―――――――――――――――――――――――――――――





 透は、心が折れそうだった。

 彼にとって吸収は、スキル発動の効率を上げる常化スキルであると共に、虫を食しMPを回復する必要が無くなるという優秀な補助スキルだというのに、そんな慰めは必要無いと言わんばかりに、透の頭の中には、新たな攻撃手段が欲しいの一択だった。



「くっそーーっ!もう嫌だぁーー!」


 そう叫ぶと、透はヤケクソ的に、スキル「のたうちまわる」を発動。


 6年間、我慢して「ちっちゃい虫」をひたすら倒してきた結果がこれとはなんとも納得し難いのだろう。









































 ……………ピロリロリーン♪























 ………………しかし、()運はまだ彼を見放してはいなかった。






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