崖上の攻防
ハァハァハァ・・・・・・どこにいった?
ゴブリンキングがリーナを連れて行った方向を考えるとこの辺りのはずだ。だいぶ森の奥まで来てしまったようだが、なかなか見つからない。この辺りは強い魔物も出てくるはずだし、早く見つけないと助け出す事もできず俺が死んでしまうかもしれない。
「くそ、どこにいるんだリーナ」
走っては立ち止まり音がする方向を探り、走る。走っては止まり音の方向へ。数度繰り返していると丘のような場所に出た。丘の両脇は木々が立ち並ぶが先は崖のようになっており、その際の大樹が切り取られた幹の上にリーナが寝かされていた。
「リーナ!」
見つけた瞬間俺は走り近寄る。ゴブリンキングはどこに行ったのか? 少し頭をよぎったがリーナを早く連れ出したいと思いリーナの元へ走る。
グォー!!!
その時、真横からゴブリンキングが体当たりをしてきた。なんとか回避しようと思うが体はすぐに方向転換が出来ない。どうやら追っ手が来ると解っていて待ち伏せしていたようだ。勢いよくぶつかった俺の体は反対の木々に打ちつけられた。
「ガッ、ウグ・・・・・・」
息が出来ない! 体が痛い、足に力が入らない。
ガッガッガッガ〜
まんまと作戦にはまった立ち上がれない俺を見てゴブリンキングは笑い転げる。よほど気分が良いのかゴブリンキングは攻撃してこない。今攻撃されたらアウトだった。どうにか足に力を入れて立ち上がる。しかし吹き飛ばされた時に持っていた武器をどこかへやってしまったようだ。
くそどうする? リーナは無事なのはよかったが、一人でゴブリンキングをどうにかしようなんて無理だ。何か手を考えないと・・・・・・
そう考えているとゴブリンキングはやっと笑いがおさまったのか? 俺の方向へニタニタと笑いながら近寄って来る。10m、5m、3m・・・・・・そこで立ち止まり、咆哮する
グォーーーーー!!!
至近距離での咆哮に俺は足がすくみ動けなくなる。すると瞬間ゴブリンキングが拳を俺の腹にめがけて打ち込んで来た。なんとか回避をするが蹴り足が飛んで来た。
バキ!
腹に思い一撃を与えられ、あばらが何本か折れたような感覚に陥る。
「ぐぁっ」
地面に打ち付けられた体は動こうとしても痛みが邪魔をして動けない。だめだ何も出来ない、このままでは死んでしまう。せっかくリーナを見つけたのに、このまま終わってしまうのか? そう思っていると、ゴブリンキングが俺の方を見ながらリーナのそばに近づく。
くそ、やめろ
意識では叫んでいるが、もはや声にも出せないほどあばらが痛む。這いずりながらリーナへ向かうがなかなか進まない。それを見ながらゴブリンキングはリーナの両腕を掴み片手で持ち上げる。
「ハ ル、逃げ て」
リーナは意識が戻ったのか声を絞り出して俺に逃げろと言って来た。そんな事はできないに決まっている。幼馴染のリーナが目の前で死にそうになっている。一人で逃げられるはずがない。助けないと、助けないと・・・・・・
痛みを感じながらも前に進もうとするが力が入らない。その姿をみてゴブリンキングはニターっと笑い、大きな爪でリーナの服を・・・・・・縦に引き裂いた。
「い や・・・・・・」
リーナの服は縦に引き裂かれ、胸から足まで肌が露出した。
「やめ ろ」
ん? なんだ? とゴブリンキングは聞こえないないーっと俺の方をみてニタニタと悪趣味な笑みを浮かべる。
「やめ て くれ」
声を振り絞り叫ぶ俺をみてゴブリンキングはさらに笑う。圧倒的に勝者、圧倒的に優位。その立場からゴブリンキングは俺を見ながら笑う。
「あっ・・・・・・」
ゴブリンキングは指先の長い爪でリーナの胸を上下に動かしだした。ニタニタと笑いながらリーナの挙動を感じながら上下に動かす。
「やめ て さわ ら ない で」
「やめ ろ」
リーナと俺が涙を浮かべながら嘆願するが、ゴブリンキングは笑いながらどんどんとその動きを激しくする。
「あ あ っ」
ゴブリンキングがリーナをなぶろうとしている。大切なリーナを目の前にしてそんな事が許されて良いはずがない。やめろ、やめてくれ
何とか、何とかしないとそう思いながらゴブリンキングを睨み付けると、ニタニタと笑いながらゴブリンキングはリーナを俺の前に吊り下げ、俺を見ながら大きい口を開けてリーナの背面を舌で上下にねぶりつけだした。
「ひっ やめ て」
リーナは涙を流しながら叫ぶが声にならない。俺は口を噛み、血を流しながらなんとか立ち上がろうとするが体が崩れる。それを見てゴブリンキングはガッガッガッガッと愉快そうに笑う。
「うあーーー! やめろーーー!」
俺は必死に立ち上がろうとするが力が出ない・・・・・・どうする、どうしたら良い? 何かリーナを助ける方法はないか? せめてリーナだけでも助けないと死んでも死に切れない。
そう思っていた最中、一本の矢がゴブリンキングの左目に刺さった。
グォーーーーーーーーー!
ゴブリンキングが目が射抜かれた事を理解できないのか? 痛みに悶えながら叫ぶ。その瞬間リーナが崖の際に放り出された。
「今だ! みんな行くよ!」
後方からミアの声が聞こえて来た。
「ハルくん、大丈夫かい?」
前衛の1人が俺の前に立ち、回復役が回復魔法をかけてくれた。どうやらミア達が助けに来てくれたらしい。俺は声を振り絞り叫ぶ。
「リーナを 先 に」
そう言いながらリーナの方を見ると、前衛の2人がリーナの前に立ちふさがりリーナを抱きかかえる。それを見て、助かった・・・・・・そう思った瞬間、ゴブリンキングが咆哮する。
グォーーーーーーーーーーーー!
ゴブリンキングは怒りのごとく拳を前衛2人に浴びせる。
ガン!!
前衛2人が持つ盾が大きな音を立てて吹き飛ばされそうになるが、何とか攻撃を堪えた。しかし次々と拳を打ち付けるうちに盾にへこみが表れ今にも壊れそうだ。
まずい、なんとかしないと・・・・・・あばらがまだ痛むが回復魔法で少し回復してくれたおかげで走れる。そう思った瞬間、盾がバキッと音がして割れて前衛2人が吹き飛ばされてしまった。リーナはまだ動けない、それを見た瞬間俺は走り出した。
「ウォーーーーーーーー!」
俺は叫びながらゴブリンキングに向かって飛んだ。勢いよく体当たりしたおかげでゴブリンキングはよろめく。俺はゴブリンキングの顔にまたがりもう一方の目を思いっきり殴る!
グアーーーーー!
ゴブリンキングはよろめきながら後ろに倒れて行く。その瞬間皆が俺の方を見て叫ぶ。
倒れた先には地面が無く俺とゴブリンキングは宙に放り出されていた。落ちる瞬間リーナを見ると目があった。よかった、これでリーナは安心だ・・・・・・そう思いながら崖下に俺は落ちて行った。
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