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探索開始

 指定された森の入り口に向かうと、既に他のクラスのパーティーが入るところだった。


 「君達は一番最後に入ってもらうから、もう少し待っていなさい」

 

 そう言われたので皆で一度マジックバッグの中身を確かめてみた。テント2つに、食料と水がそれぞれ3日分、あと万一の場合の煙玉。煙玉は死ぬような目に出会ってしまった場合に先生や周囲に知らせるものだ。但し、よほどの事がないかぎり使わないように言われている。


 「さて森に入る前に作戦を考えましょう。基本的に私とハル、それにミオ達3人は後衛ね。男子達は前衛でお願い」

 「もちろんだよ、というか魔法は使えないから僕たちは頑張って盾役になるよ」

 「私は魔法攻撃に徹するわ。ハルは支援魔法、ミオ達は遊撃と回復役で良かったよね?」

 「うん、ちなみにハル君はどんな支援魔法が使えるの?」


 ミオ達が聞いて来たので、今できる事を伝える。


 「俺はスピードアップと身体強化魔法を付与する事ができる。ただ全員には無理だ。一回の戦闘で多くて2人までだ。その為、基本的に敵に近い前衛役に付与することになると思う。後は皆の補佐に回ろうと思っている。リーナの叔父さんから回復薬を沢山渡されているから、遠慮なく言ってくれ」

 

 それぞれの役割が解った所で、リーナが作戦をまとめる。


 「前衛役がまず盾で魔物を引きつける事、もし余裕があるなら攻撃もお願い。そして私とミオで魔法と弓で攻撃ね。ハルは支援後、回復役の二人のフォローをして」

 「ああ、解った」

 「一つだけみんなお願い。私とハルはお父様と何度か魔物退治に出かけてるから経験があるけど、初めて魔物と対峙すると恐怖で混乱して体が動かなくなるわ。そんな時は一人じゃないって事を思い出して。皆で立ち向かえば郊外の森の魔物はそれほど脅威じゃないから。最悪私がなんとかしてみせるから」

 

 それぞれ緊張してたがリーナの言葉で少し緊張が溶けた。やっぱりリーナは凄いなと俺は思った。ふと次のパーティーが入っていくのが目に入った。あの王子達のパーティーだ。さすがに装備もしっかりしているし、どこか余裕を感じるその姿に少し羨ましく思う。すると王子がこちらを見て一瞬睨みつけて来たのが解ったが、いつもの事だと気にしないようにしていた。


 それぞれ装備を確かめながら1時間が過ぎる頃、


 「さて最後のパーティー、探索を始めなさい。3日以内にあの砦を目指す事」

 「はい、行ってまいります」


 そういうと俺達は森の中に入っていった。

 森の中は思ったよりも明るく清々しい気持ちになる。想像してたよりも怖くないと皆も感じているようだ。まだこの辺りが入り口付近だからだろうなっと思っていると前衛の1人が立ち止まった。


 「しっ!皆静かに。ゴブリンを3匹発見」

 

 一気に場の緊張感が高まるのが解った。


 「よし、まずは私が魔法で攻撃するわ。その後は作戦通り前衛役と後衛役でしっかり行きましょう」

 

 そうリーナが言うと皆解ったと頷く。そしてリーナが魔法を唱える。


 「ファイヤーポール!」

 

 リーナの持つ魔法杖から小さな火の球が発生し、ゴブリンの1匹に命中した。ゴブリンは絶命していた。どうやらゴブリンはファイヤーボールで死ぬくらいの体力しかないようだ。 


 「グギ、グギギギ、グギャー!」


 ゴブリン達は仲間がやられたのを見て、いっせいにファイヤーボールが向かって来た先に走り出した。手には小さな斧を持っており、当たれば痛いでは済まされないだろう。


 「させません!」

 

 前衛2人がゴブリン2匹の前に立ち盾を向けて見事に突進を防いだ。


 「まずは1匹づつ倒すわよ、ミオ弓で狙って!」

 「了解!」


 するとミオは弓を引き矢を放つ。放たれた矢はゴブリンの右目に当たる。ゴブリンはグギャーっと痛がりながら地面をのたうちまわっている。すると残っていた1人の前衛がゴブリンに向かって行き、思いっきり剣を振り下ろす。


 ズバッ!!


 すると事切れたのかゴブリンは動かなくなった。残った1匹のゴブリンがその様子を見て後ずさりしていく。8対1、明らかにゴブリンが劣勢だ。するとゴブリンはグギャーっと叫び逃げて行った。


 「逃げて行った・・・・・・やった、やりましたな!」


 前衛3人がやったやったと沸きたっている。実際初めての戦闘で前に立ちはだかり、皆を守った彼らは立派だ。


 「思ったよりもゴブリンは大丈夫そうだね、リーナ」

 「うん、ゴブリンは1匹づつは大した事ないからね。でも初めての戦闘で皆それぞれ役割をしっかり果たせてたし、凄いよ」

 「でも私達何もしていないよ」


 そう回復役の1人が言うと、リーナが横に首を振る。


 「そんな事ないわ、今回はたまたま接戦にならなかったから役目がなかっただけだし。それにそれを言い出したらハルもそうだもん」

 

 俺は無言で頷く。


 「それに私は皆が怯む事なく体制を整えて動こうとした事が凄いと思うわ。私が初めて魔物と出会った時なんて腰が抜けて動けなかったもの」

 「確か漏ら・・」


 俺が漏らしたと言いそうになるとリーナがキっと俺を睨み、余計な事を言ったなと思った。 

 

 「皆この調子でいきましょう。但し魔物はゴブリンだったとしても決して舐めて掛からない事。ゴブリンが大勢居ると全然違う怖さがあるとお父様が言ってたわ。油断せずに進みましょう」


 リーナがそう言うと俺達は歩を進める。


 「しかしお前ら凄いな、皆の盾役しっかりこなしてたな。本当に凄いよ」

 「いえいえ、でも僕達も役に立てるんだと少し自信になったよ。ハル君も絶えずこちらに気を掛けてくれてたのも解ってたし、気にする必要はないですよ」


 俺が前衛3人と話していると、彼らは嬉しかったのかいつもより饒舌だった。その後も何度かゴブリン数匹と他の下等魔物に出くわしたが、皆がそれぞれ役割を果たし誰一人欠ける事なく、夜を迎えた。


 「じゃ、テントを張って夕食にしましょう」

 

 森の中でも少し広めの草が茂っている所で俺たちはテントを貼り、夕食の支度をした。夕食といっても簡易食なので、乾パンと水、少しの燻製の肉だけだったが、皆初日で疲れてたのか?食べた後は、見張りを交代しながら睡眠を取り、次の日を迎えた。

誤字脱字、ご感想、ブクマ等頂けますと幸いです。

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