表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/79

金髪の悪魔と死神

「君が頑張ってくれたおかげで私の努力が報われたよ」


アッサムさんが僕にそう言うと、魔法陣の方へと進んでいった。


アリスに似ている少女がそれに気付くと、周囲を一瞥してからアッサムさんの方へと向かって歩き出した。


「ああ、私のためにこの世に現れてくれた君に感謝するよ。

これから私のためにその持てる力の全てを発揮してもらうからね。

まずは、手始めにこの部屋にいる人達を皆殺しにしてしまおうか」


「どうしてあなたの言う事を聞かないといけないの?」


少女の返答が予想外だったからなのかアッサムさんは動揺しているようで、少女の肩を掴んで説得をしているようだった。


「ちょっと待ってよ、あなたを創ったのは私なんだから親の言う事を聞いてよ」

「私は作ってくれなんて言ってないんだけど?」

「そんなことを言ったって作ったんだから仕方ないでしょ」

「あなたがきっかけを作ったのかもしれないけれど、私がこの世に出てくるきっかけになったのはそこにいる人達のお陰だって知ってるよ」

「確かに、その人達の魔力をたくさん使ったけどそれを実行したのは私です」

「あなたは魔法陣を作っただけっぽいし、私がこの世界に出てこられたのはあなたの成果じゃないと思うよ」

「そんなこと言ったって私がこの世界を支配するためにあなたの力が必要なんだから協力しなさいよ」

「協力するのはやぶさかではないんだけど、あなたは世界を支配出来るような器じゃないと思うな」

「なんてこと言っているのよ。私以外にこの世界を支配出来る人なんていないでしょ?」

「えっと、そこにいるお姉さん方は一人だと無理っぽいけど、あっちにいるお兄さんなら出来そうだよ」

「あいつはこの世界の人間じゃないから対象外よ。私を選べばあんたはそれでいいのよ」

「そんなこと言うなら私だってこの世界の人間じゃないから他の人に頼めば?」

「私がこの世界を支配する時にはあなたもこの世界の人間として認めらるわよ」

「そんなこと言ったって私の事を兵器としか見てないじゃない」

「それはそうじゃない。あなたは誰よりも強くなっていくんだから良いのよ」

「私だって普通の女の子として生きてみたいよ」

「普通の女の子がそんな物騒な鎌を持って歩くわけないでしょ。大体なんでその鎌を持って平気なのよ?」

「平気も何も、この鎌が蓄えていた魔力を使って行動しているんですけど?」

「そんなわけないでしょ。あなたの力はあの鉱石と魔女の魔力のはずよ」

「そんなこと言ったって知らないわよ。大体、あの魔力の貯えてる石もお姉さん達も大した魔力を持っていないんだから数合わせでしょ?」

「数合わせなわけないでしょ。あの鉱石も魔女の魔力も全ての力を攻撃魔法に変えたら世界を滅亡させることだってできるのよ」

「それなら私の力で世界を滅亡させられるんじゃない?」

「だから、私のためにそれを実行しなさいって言っているのよ」

「そんなことしても意味ないじゃない」

「意味なんかどうでもいいのよ。私をバカにしてきた人間たちを一人残らず殲滅しなさいよ」

「イヤだよ。私だってこの世界で楽しい事したいし。」

「そんな事くらい私の願いを叶えてくれたらいくらでも探してあげるわよ」

「嘘くさいなぁ。私だって自分のしたい事をさせてもらいたいわ」

「それなら私の願いを叶えた後で好きにしなさいよ」

「あなたの願いなんて叶えません。あのお兄さんがいいよって言ったら聞いてあげるけどね」

「なんでアイツが関係あるのよ」

「だって、私が生まれるきっかけになった魔力の大半はこの鎌に蓄えられていたんだし、その持ち主のお兄さんが生みの親って言っても過言じゃないと思うわ」

「そんなの屁理屈よ。私がいなければあんたはこの世界に出てこれなかったのを理解しなさい」

「ああ、もう。うるさいから黙っててもらえますか?」


少女はアッサムさんに返事を返すと同時に持っていた鎌を振りぬくと、アッサムさんの首が宙を舞っていた。


「なんでなの?」とアッサムさんが言うのと同時に頭を失った体が前のめりに倒れていくと、少女が僕の方へと歩みを進めてきた。


僕以外の人があの鎌を使うところを始めてみたのだけれど、自分が今まで斬ってきた時よりも切り口が滑らかになっていたように思えた。


「ねえ、お兄さんもこの世界を支配したいのかな?」


「僕は支配したいとかは無いけれど、この世界が平和になるのならそれに越したことは無いかな」


「そうなんだ。じゃあ、この世界にいるお兄さんの敵を全部殺してあげるよ」


「それは嬉しい提案だけど、そんなことをしたら君が傷付くんじゃないかな?」


「私なら多分大丈夫だと思うよ。この鎌を持っている間は自然に傷も治っていくだろうし、最後までこの鎌を借りていてもいいかな?」


「それは持つ者の魔力を吸い取るらしいけど、君は大丈夫なの?」


「うん、私がこの世界に産まれるための魔力をほとんど貰ったから鎌自体はそんなに危険な代物ではないかもね。それにさ、私も魔力を吸収するタイプみたいだからお互いに吸収し合ってていい感じかも」


「君が無事ならそれでいいんだけど、ところで、名前は何と呼べばいいのかな?」


「名前かぁ、考えたこともなかったな。お兄さんが決めてくれたら嬉しいな」


僕は人の名前だけではなく、ペットの名前を付けるのも苦労するタイプだし、女の子の名前を付ける事の経験も無いので躊躇してしまう。


「ねえ、お兄さんがつけてくれる名前ならどんな名前でも嬉しいよ」


「そうだな、君はアリスに似ているけどアリスではないみたいだし、アスカでどうかな?」


少女は両目を見開きつつ、両掌で口を押えていた。


「そんないい名前を私につけてくれるなんて、私は幸せ者だね。お兄さんの名前はいつか聞くことにするから思い出したら教えてね」


僕がアスカと名付けた少女は嬉しそうに微笑みながら僕に近付くと、他の人達を順番に嘗め回すように見ていた。


「私ってきっとこの世界に必要ない存在だと思うんだよね。

だから、この世界に必要とされるような存在になれたらいいなって思うの。

その為には誰からも必要とされる存在にならなくちゃいけないと思うんだけど、お兄さんはどう思うかな?」


「僕はそこのところはよくわかっていないんだけど、アスカが産まれてきた意味はあるはずだよ」


「やっぱりお兄さんって優しいよね。

でね、私って今の力で何が出来るのかもわかっていないし、これから何が出来るのかもわかっていないんだよね。

だから、優しいお兄さんに私がどんなことが出来て、どんなことを目標にやっていけばいいか見つけて欲しいな。

今持っているやつも使い方がいまいちわからないんで振りぬくだけなんだけど、それで使い方があっているのかな?

って言っても、お兄さんもこの鎌の使い方がわかってないみたいだし、しばらくの間は私が預かっておくよ。

ちょっと待って、お兄さんの後ろに女の人が浮いているよ?」


僕はその言葉を聞いた瞬間に振り返って後ろを見ていたのだけれど、上を見ても下を見てもどこにも女の人はいなかった。


「どこにもいないけど、どんな人がいるのかな?」


「え? お兄さんのすぐ上に女の人が浮いているんだけど、お兄さんは見えていないの?」


「本当なのか冗談なのかは判断できないけど、僕の近くにいるのはアスカだけだよ」


「もしかして、幽霊ってやつなのかな?」


「そうなのかもしれないけど、どんな感じの人なのかな?」


「幽霊が見える私って凄いのかも!」


「うん、凄いと思うけど、どんな人が見えているのかな?」


「それにしても、どうして急に見えるようになったのかな?

お兄さんが何か不思議な力を分けてくれているのかな?」


「僕は何もしていないけど、どんな人が見えているの?」


「何か言おうとしているみたいだけど、私は何を言っているのか全然聞こえないんだよね」


「幽霊が見えるのって、アッサムさんの力なんじゃないかな? アッサムさんがアリスを創ったみたいだし、その影響で僕には見えない何かが見えているのかもね」


「もしそうだとしたら、殺すのはちょっと早かったかも。色々聞きたいこと出来ちゃったもんね」


そう言いながらもアッサムさんの死体を魔法陣の中へと連れて行くと、魔法陣の中に残っている三人の魔女をじっと見つめていた。


「ねえ、お姉さん達はお兄さんの味方なのかな?」


「ええ、死神君の味方だけど、どうかした?」


「そうなんだ、みんな味方なら大丈夫だね。お姉さん方はこの女の人が見えているのかな?」


アスカが僕の方を指差してるのだけれど、僕は前を見ても後ろを振り向いてもそこには誰もいないのだった。


アイカさん達三人もアスカの言う女の人は見えていないらしく、首を横に振っていた。


「そうなんだ、私にしか見えない幽霊ってやつなのかな? 何回斬ってもいなくならないし、どうしたらいいと思うかな?」


「私には見えていないんでどうする事も出来ないけれど、もしかしたら死神君なら見えるようになるかも」


「へえ、お兄さんがそんな事出来るようになるのかな?」


「私も詳しいやり方はわからないんだけれど、あなたと死神君が繋がると同じものが見えると思うんだよね。でも、繋げ方がわからないからどうしようもないかも。アッサムさんなら知っていたみたいなんだけど、もう聞くことも出来ないしね」


「あの女が知っているのかい? それなら直接聞いてみることにするよ」


アスカはその辺に転がっていたアッサムさんの頭部を拾うと、その切り口から腕を突っ込んで何かを探っているようだった。


右手に刺さったアッサムさんの頭部はまるで生きているかのように細かく痙攣を繰り返していたのだが、アスカがにやりと笑うとその動きはピタッと止まり、それまで何も流れていなかった切り口から血が滴り、アスカの腕を伝って肘の先からぽたりぽたりと地面に落ちていた。


動かなくなった頭部を無造作に投げ捨てると、今度は三人の魔女の方に向かって歩いて行くアスカを僕は恐ろしさとも違う感情で見守る事しか出来なかった。


「お姉さんの言う通りこの女は方法を知っていたみたいだね。

でも、その方法を実行するためには今の私の力では無理見たいかも。

そんなわけで、お姉さん達には少し協力してもらってもいいかな?」


アスカはいまだに動くことのできない三人の魔女に向かって鎌を振りながら、脅迫じみたお願いをしていたのだが、三人ともそれにあらがう事はなかった。


「ありがとう、それぞれ三人の力を見たいんでちょっとだけ触らせてもらうね」


そう言ってからアスカはミコさんに近付くと、まだ血の渇ききっていない右手で頬を触って何かを確かめているようだった。


「お姉さんの能力は私達には必要ない能力のようだね。あとで魔力を少し頂くことにするよ」


そう言った後にミズキさんのもとへ行って同じように頬を触っていた。


「お姉さんも私達の力にはなりそうもないね。あとで協力よろしくね」


最後にアイカさんのもとへと行って同じように頬を触ると、前の二人とは明らかに違う反応を示していた。


「ああ、お姉さんはいいお姉さんだよ。私が探している能力に限りなく近いよ。お姉さんの場合はそこそこの魔力でお願いすることにしたよ」


そう言って嬉しそうにしているアスカを見ていると、お気に入りのおもちゃを見つけた子供のように感じてしまっていた。


視界の隅の方では皇帝陛下がお供の魔法使いに強力な結界を作らせようとしていたのだが、それを感じたアスカは皇帝陛下の方へと進んでいった。


「怖い気持ちはわかるんだけど、今のところあなた達を攻撃する予定はないんだよね。そんなわけで、そんなに警戒されちゃうと私もそのつもりになっちゃうかもよ」


その言葉を聞いた魔法使いの人達は結界を作る術式を途中で止めて、皇帝陛下の横に一列に並んでいた。


「私達はあなたに敵対するつもりはないのです。敵対するつもりはないのですが、あなたの強力な魔力を目の前にすると、自然と防衛本能が働いてしまったみたいなんです」


「そうなんだ、私もまだこっちに来て本調子にはなってないみたいだし、良かったら戦い方を教えてね」


そのまま皇帝陛下の前に立つと、アスカは皇帝陛下の肩を軽く叩いて僕の方へと歩みを変えていた。


アスカが僕の方へ向かっている時に、一気に力が抜けたように皇帝陛下がその場に膝から崩れ落ちていた。


「あのね、私はお兄さんの役に立てるかもしれないよ。

あの女の人達もおじさん達も協力してくれるって言っていたからね」


「魔女の人達も皇帝陛下も偉い人なんだからある程度はわきまえないと駄目だよ」


「そうなの? お兄さんがそう言うなら敬ってみるよ。でも、いつでも殺せる人を敬うのはどうなんだろうね?」


「いつでも殺せるからって殺そうとしたらダメだよ」


「お兄さんが言う事は守らなくちゃって思うんだけど、お兄さんのスキルなのかな?」


「僕が使っているスキルは武器を使ったり体感速度が変わるスキルだったりするんだけど、命令とか服従系のスキルって持っていないと思うよ」


「そうなんだ。じゃあ、この気持ちは誰かに支配されているんじゃなくて私の素直な気持ちなんだね」


そう言いながら僕の周りで軽く飛び跳ねているアスカを見ていると懐かしい気持ちにもなっていた。


「そうだ、さっきの首から仕入れた情報なんだけど、お兄さんに私の力を分けると幽霊も見えるようになるみたいだよ。さっそく試してみるね」


アスカが僕の頬に両手を当てるとそのまま顔を近付けてきて、そのまま唇を重ねてきた。


弾力のあるアスカの唇が僕の唇を優しく包んでいるのだけれど、頬に添えられた手も重ねられた唇も、驚くほど冷たく体温を感じられないほどだった。


「女の人達を触った時も思ったんだけど、お兄さん達って体温高いよね。ちょっと触っただけでやけどするかと思ったよ。お兄さんの唇は温かくて気持ちいいんだけどね」


「アスカは冷え性って次元を超えて冷え切っているんじゃない?」


「うーん、自分ではわからないけれど、お兄さんたちに比べたらそうかもしれないね。この部屋もちょっと暑く感じているし、さっさと繋がる準備をしようよ」


アスカは僕の後ろを指差すと、そこには先ほどまで感じられなかったアリスの姿があった。


僕が姿を見ることが出来るようになったことに気付いたアリスは少し恥ずかしそうにしていたけれど、手を伸ばすとその体に触れることが出来た。


「あれ、お兄さんはそいつに触ることが出来るの?」


「うん、なんでかわからないけど触ることが出来るみたい」


「じゃあ、そのままそいつを魔法陣のところまで連れてきてよ」


なぜか不機嫌な感じになっているアスカの後について魔法陣に向かって歩いていると、途中に転がっていたアッサムさんの頭に驚いたアリスが僕に抱き着いてきた。


それを見たアスカが明らかに不機嫌になると、魔法陣の中にいたアイカさんを乱暴に魔法陣の外へ追いやって、アイカさんがいた場所にアリスを連れてくるように指示してきた。


「ふう、お兄さんはこの女と私ならどっちが大事なのかな?」


「この女ってアリスの事かな?」


「アリスって名前を名乗っているみたいだけど、この女はアリスじゃないよ。だって、私は全部知っているからね」


「それはどういうこと?」


「お兄さんは優しいから気付かないふりをしているのか、本当に気付いていないのかわからないけれど、この女はあっちに転がってる奴と口裏を合わせてアリスって名乗っているだけだよ。

それは、お兄さんの能力とかそれ以外の力が必要なだけで、お兄さんの力を使ってこの国を支配するのが目的だったみたい。

私もその目的で呼ばれたんだけど、お兄さんが使っていた武器のお陰でアイツの支配から外れることが出来たんだよね。

この女もアイツが死んだことで呪縛から解き放たれたみたいなんだけど、私に敵対しているみたいだしどうなってもいいよね?

それに、その魔法陣が存在している間は外に出ることも出来ないしね。

私のお兄さんにベタベタした罰として、その魔力を全部頂くことにするよ。

でも、安心してほしいな。

頂いた魔力はお兄さんと私のために余すことなく使い果たしてあげるからね」


不敵な笑みを浮かべるアスカと、今にも泣きだしそうな顔のアリスと、何が何だかわかっていないアイカさんの三人が同時に僕の顔を見つめていた。


「お兄さんがそんな感じだと、私がもっと頑張らなきゃって思っちゃうね。頑張ったらご褒美欲しくなっちゃうかも」


ご褒美になるかわからなかったけれど、僕はアスカの頭を撫でていた。


アスカの頭は綺麗な卵型をしているようで、撫で心地も素晴らしく、自然と何度も何度も手を動かしてしまっていた。


「お、お兄さん。気持ちは嬉しいけど、そんなに何回もやってくれると、私も困っちゃうよ」


先ほどとは打って変わって大人しくなったアスカは借りてきた猫のようになっていた。


「もう、お兄さんは私の恩人なんだし、たまになら頭を撫でてもいいんだからね」


そう言ってからアスカは皇帝陛下の方へと走っていっていた。


そのまま皇帝陛下と何かを話していたアスカは僕の方へ戻ってくるときには、皇帝陛下の周りにいた魔法使いたちを全て引き連れていた。


アスカはその魔法使いたちを僕が鎌を置いた場所に押し込むと、今度はアイカさんの前に移動していた。


「お姉さんの力は私が持っていた方が役に立つと思うんだけど、どうやったら貰えるのかな?」


「そんなことを言われても、私の魔法をあげる事なんて出来ないと思うよ」


「そこを何とかもらえると嬉しいんだけど、じゃあ、貰えないにしても使えるように協力してもらえないかな?」


「どうやって協力すればいいの?」


「私がお兄さんと繋がった後で、私とお姉さんが繋がるってのはどうかな?」


「私とあなたが繋がって私の魔法を使えるようになるってことは、私もあなたの能力を使えるようになるってことなのかな?」


「うん、使えるようになると思うけど、私の力は使わない方がいいと思うよ。

普通の人が使ったとして、その魔力で足りるかわからないし、もしかしたら使う前に魔力不足で死んじゃうかもしれないからさ」


「私も一応は魔女なんで魔力は多い方だと思うんだけど、それでも厳しいかな?」


「魔力的には問題ないと思うんだけど、私の魔法って直接生命を削るタイプなんだよね。だから、お姉さんの場合は死んで終わりだと思うんだ。お兄さんの場合は死んだとしても生き返ることが出来るみたいだし、私の力を自由に使いこなせるスキルを見つけたら無敵になると思うの。でも、お姉さんはそのどっちも出来ないみたいだし、繋がったとしても私の力は使わない方がいいと思うな」


「わかったよ。私はあなたの力を使えなさそうだし、なるべく邪魔にならないようにしておくよ」


「うん、一番良いのは繋がってから私がお姉さんの事を全部理解して、その後に死んでくれると助かるんだけど、それはお兄さんが悲しみそうだからこの世界にいる間は生きていて欲しいかも」


「あはは、それは期待に応えられるといいけど、出来るだけ危ないところには近づかないようにしておくよ」


「私とお兄さんの近くにいれば安全だと思うけど、あんまり二人の邪魔をしてもらいたくないかも」


そう言ったアスカが僕の目の前まで歩いてくると、そっと僕だけに聞こえるように囁いた。


「あのお姉さん以外はみんな殺しちゃうね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ