適職
食堂を出てしばらく西に向かい、途中にあった林を抜けると、大きな教会に出た、その教会は白と黄金で出来ており空から降り注ぐ太陽の光と相まってとても神秘的な雰囲気を醸し出していた
「おお来たか、守、早く入りなさい、聖竜が待っているぞ」
「エンぺラルさん?、ですか?」
そこに居たのはエメラルドグリーンの髪と瞳を持った美女だった、もしかしてと思い、聞いてみた
「ああ、この姿を見せるのは初めてだな、改めて、竜皇エンぺラルだ、よろしく頼む」
「は、ハイ、ヨロシクお願いします」
「ささ、中へ、仕度はもう出来ている、後はそなたが職神フォレスに祈るだけだ」
そう言って手を掴まれ教会の中に入れられる、手をつながれた時物凄くいい香りがして、心臓がドクドクと五月蠅かった、な、なんて柔らかい手をしているんだエンぺラルさんは
中に入った僕は少し拍子抜けした、以外と言ってはなんだが外観はあんなに派手だったのに、内装は質素の一言だったからだ、何か理由でもあるんだろうか
「エンぺラルさん、どうしてこの教会はこんなに質素なんですか?外観はあんなに綺麗なのに?」
「ああ、それは職神フォレスの趣味だ、こちらの宗教では外観はともかく、中は神それぞれの趣向で好きにしていいことになってる、フォレスは清貧を良しとするのでな」
そうなんだ、神なのに清貧が好きなんて善い神様なんだな、地球とはえらい違いだ
僕たちは教会の中央に鎮座してある像の前まで来た、その像は三つの顔を持ち六本の腕に色々な職業の道具を持ってこちらを見つめている、あれ?、さっき持ってたものと違うものが手に握られている!、ドユコト?
「あ、あの、さっきからあの像の持っている物が次々に変わっているんですけど、ど、どういう事何ですか?、俺の頭、おかしくなった?」
「?いや、正常だと思うぞ、そちらの世界では変わらないのか?」
「どうでしょう?教会に行ったことないからわからないですけど、仏像は変わったり動きませんでした」
「そう、か、であれば驚くのも無理はないか、此処は神域に近いからこの位は普通だ」
普通か、まあ異世界だしな、普通普通、僕は気にしないことにした、そこで暫く待っていると、奥の扉から黒い髪のこれまた美女がやって来た、白い神官服を着ている、その神官服の上からでもわかるナイスバディ、この子がさっき言っていた聖竜だろうか?、優しげな雰囲気をしている
「昨日ぶりですね、私は聖竜ハイラル、又は使徒竜ハイラルです、守さん、昨日の宴会は素晴らしかったです、久しぶりに心から楽しめました、ありがとうごさいました」
「い、いえいえ、頭をあげてください、大したことはしていませんから!」
僕が必死にお願いするとやっと頭をあげてくれた、僕は美女に謝られると無条件に許してしまうタチなのだ
「では早速守さんの適職を表示しましょう、職の神フォレスよ、汝の加護を与えたまえ・・・」
戦士 剣士 盗賊 商人 魔法使い 神官 騎士 農家 狩人 異界の妖商人(固有)
おお!、固有ジョブがある!でも異界の妖商人ってなんだ?、いや、異界は解かるんだけど・・・妖商人っていったい?
「あの、ハイラルさん、異界の妖商人ってどんなジョブか分かりますか?、見当もつかなくて」
「すごい!、固有ジョブじゃないですか!、あッ詳細ですか、少し待ってください」
・・・・・・職の神フォレスよ異界の妖商人の詳細をつまびらかに・・・・・・
その真言が言い終わると空中に浮いていた文字たちの下に新たな文章が表示された
異界の妖商人
異世界の物やこの世界の物を売り買いすることができる者のみ就く事ができる、このジョブに就くと、買った物の効果が上がり、さらに特殊な効果が付く事もある、
例
地球産の食べ物を食べると一時的にステータスやスキルの効果が上がる、防弾チョッキが魔法や気にも耐性が付く、薬(リポビタンDやユンケル等)を飲むと魔力や気力が回復する等々
スキル
鑑定 算術 交渉術 商品効果アップ
これは、すごいのか?、イマイチ良く分からない、だが前に居るハイラルさんとエンぺラルさんは興奮している、どうした?
「こ、これすごいですよ、流石固有ジョブ、半端じゃない効果です、迷ってるなら是非これにすべきです!私固有ジョブ初めて見ました!」
「うむ、守よ、初級ジョブでこれだけの効果をもたらすものはそうそう無い、これにすべきだ」
「はあ・・・このジョブってそんなにすごいんですか?、そうは思えないんですが・・・」
「すごいと間違いなく言える、鑑定、算術、交渉術はありきたりだが、商品効果アップがレアすぎる、長い年月を生きてきたがこんなスキル見た事が無いし、効果が強すぎる、このジョブにすべきだ!」
「いやそんなこと言われても、折角異世界に来たんだからバトルしたいですよ、僕的には戦士か剣士で迷ってるんですよね、これってどっちが良いですかね?」
「「異界の妖商人にしなさい(しろ)」」
「・・・・・・ハイ・・・・・・」
そんな感じで僕のジョブは決まったのであった・・・
「守さんの希望するジョブは異界の妖商人に決まりました、では、フォレスにお祈りを」
「ハーイ・・・(希望してないけど、ここで戦士になりたいって祈ったらどうなるんだろ?・・・怖いからやめとこ)」
僕が祈りをささげると、一瞬、光が教会内に満ちて頭を撫でられた気がした、何がどうなった?
「はい、就職は完了しました、お疲れさまでした、これから頑張ってくださいね」
「ふむ、無事に終わったか、一時はどうなるかと思ったが、良い選択をしたな守よ」
「僕はいまだに戦士にしといた方がよかった気がするんですけどね・・・」
そう呟くと、2人は聞こえないふりをした、ちくしょう、商人じゃ無双出来ないじゃんか、無双出来なきゃハーレムが、キャワイイ女の子達が!僕を待ってるんだ!
僕がブツブツ呟いていると、ハイラルさんがこちらをじっと見ている、何だろう?
「あの、ステータスを確認しないんですか?」
「あッそうだった、ス、ステータス!」
名前 守
種族 ドラグーン
職業 異界の妖商人 レベル1
祝福 商売と交易の神フェア
体力 30
魔力 20
気力 30
筋力 80
耐久 10
敏捷 100
器用 50
精神 20
運 30
魔力属性 雷
闘気資質 速
スキル 鑑定 算術 交渉術 商品効果アップ
ギフト 異世界通販 レベル10
身体能力の値が、変わってない、僕はもしかして、とんでもない事を仕出かしてしまったんじゃなかろうか?やっちまった?