【地獄のような日々の終わりと始まり】プロローグ
「きっと、この世界での暮らしは最高だとか…言えねぇーだろうな」
俺はそうつぶやく。でも、この世界の暮らしというものはそこまで最低ではない。
だけど、異世界っていうやつは、命の危険はつきものだというところに欠点がある。
本当にあきれるぜ。この理不尽な世界。血戦ばっかりの世界。多分、俺が見る景色は、血に染まり、人の死体だらけの世界なんだろうな。
今俺の周りにいる人の死体たちは、ピクリとも動かない。雪が降る中、一人、突っ立っている俺は、一体何をしているんだ? 片手には剣。目の前には精霊殺し。一人でこの軍団に勝てるのかな…。
ってか、この死体、よく見たら…ーー
「俺じゃないか……」
そして、響き渡る誰かの笑い声。
刹那、俺は目の前にいる精霊殺しに、胸に一突き…剣で刺されてしまった。
あぁ、血が…熱い…違う。痛みだ…。誰も助けてくれない。こんな俺を、情けない俺を…仲間を見捨てた俺を…逃げた俺を…。
そして、人々を苦しめ、殺してきた俺を…誰も信頼しない。信用しない。味方だと思わない。完全に俺は…異世界人を敵に回してしまったのだ…。
「…さぁあ…ーー」
精霊殺しは、仮面を外すことなく、何かをしゃべり始めた。そしてーー、
「ーー…………死ね」
剣が鈍い音を立てて、俺の胸から背中へと貫通する。
そして、俺は何もしゃべらず、動かず、そこに突っ立っていた。それから、やっとの思いで、口に出した言葉はーー、
「あぁ、俺…死んだんだ…」
刹那、俺の視界は地面の方を向く。血だまり、刺さったままの剣、手や服、剣に付いた血が見えた。
俺の血だ。
空から降ってくる雪が冷たい。刺さっている剣が冷たい。熱い…腹部のあたりが熱い…また、痛みを熱と間違えている。
ってか、さっさと死ねよ俺…なんでまだ生きているんだよ。
でも、精霊殺しが来たってことは…ーー
「これで最後だ…」
精霊殺しはもう一本剣を出し、構える。
「…フッ…フッフッ…フハハ…フハハ…アハハハっ!」
笑っている。…なんで人を殺す時にそんなに笑っていられるんだ…?
いや、また違う。
これは、俺の笑い声だ…。
刹那、精霊殺しが再び剣を振った。
あっ、首が…飛んだ…。
そして、俺はこの世から去った…。でも、俺は死ぬことを許されない男。
いつかまた、精霊殺し、てめぇらを全員殺すまで…俺は死なないからな。首を洗って待ってろ…。
刹那、彼に残った魂は、灰になって消えていった…。
「るりっ! …るりーーーーっ!!!」
そこに残された金髪の少女は、首なしの彼の体を抱きながら、叫び、泣きわめく。
でも、彼はもうそこにはいない。
だって、彼は本当に死んだのだから…………。
はっと目が覚めた時、いつもの家にいた。
そして、いつも起きたら考えていた。もちろん異世界のことは、この頃の俺は知らない。
生きているのって…つらい…。
ただ、人を助けただけなのに、助けて俺が悪者になってしまい…生きるのがつらいと思ってしまう。ってか、生きているのがつらくなっている。
ならいっそ、死んでしまえばいいかな…。
「あぁ…………」
髪をなびかせ、朝の町の景色を見る。朝の景色は少し白っぽくて、静かだ。
まるで、この世界に誰もいないようだった。
そんな景色を、俺は学校の屋上で見ていた。俺は屋上にある柵を超えて、ずっと街を見渡していた。俺の学校は、山にあって、屋上に行けば、町全体を見渡せる。一体山の上にある学校だよという話だ。でも、今そんなことは関係ない。どうせ、今から死ぬんだから。
「夜空瑠璃、これでこの世界での生活は終わりだ」
そう自分の名前を口に出し、つぶやく。そして、少し笑って、目を閉じ…前に体重をかけた。
そして、俺は学校の屋上に侵入して、飛び降り自殺をした。
「ーー…君は…なぜ…ここに立っているの?」
刹那、俺は目を開ける。するとーー、
「一体…どういうことだ…?」
見知らぬ声が急に聞こえて、俺は慌てて目を開けた瞬間、周りの景色に驚き、慌てる。
「俺の脳の処理が追い付かないっ!」
瑠璃は慌て、視点が定まらない。
「急にどうしたの? そんなに慌てて? それに私が質問しているのに無視するなんて、酷いですね。あなたは」
そして、瑠璃は声のする方を向くとーー、
「やっとこっち向いた。それではもう一回質問するね」
俺が見たのは、金髪で、なんか美人の女性だった。俺が立っている木の下、彼女は座っていた。
「それじゃあ、質問。君はなぜここに立っているの? さっきからずっと目を閉じたまま立っていたよ? もしかして立って寝ていたのかな~?」
「…え?」
上目遣いで、金髪の少女が俺を見てくる。
「どうしたの? そんなに話せないことなのかな?」
上目遣いを続けながら、彼女は首をかしげる。
「ごっ、ごめんなさい」
瑠璃はそう言って、一度深呼吸する。
「別にあなたは何もしていないから謝らなくてもいいのに、その前に私の質問に答えてくれない?」
そう金髪の少女は言ってくる。
「そんな事を言われても…」
急に声がして…そして、目を開けると…この変な場所にいたし…。
「どうしたの? 記憶喪失でもした?」
「いや…別にそんなことは…」
死ぬ前の記憶も残っている。しかも、身を投げ出した後の上から下へと落ちる瞬間まで残っていて気持ち悪い。
「まぁ、そんなことはどうでもいいのだけど? 君はずっとここにいるつもり?」
温かい木漏れ日が当たる中、俺と金髪の少女と目が合う。俺は少しドキっとするが、顔を振って我に返る。
「いや…俺は…」
この場所がどこ分からないし、まず日本にこんな場所があったか? 広々とした草原。
煉瓦で作られた家。そして、気持ちいい風が吹く木のした。
まぁあ、最後のは頭から出してーー、
「道に迷ったの? なら、教えてあげようか?」
「あぁ、すみません。札幌ってどこにありますか?」
ここがどこか…まず、俺は北海道出身ではないが、こんな気持ちいい草原があるとしたら北海道かなと思った…。
「ほっかいどう…? そんな国あったっけ?」
金髪の少女は人差し指を唇に当てて、上に視線をやる。
「えっ?」
瑠璃は首をかしげる。
「そんな国はこの世界には存在しないと思うよ」
「…」
少女の言葉に、俺は驚き、声が出なくなった。
そして、彼女が言った通り、この世界に日本などなかった。ってか、地球上に存在している国などはなかった。
そう、この世界は、俺たちからするーー、
異世界だったのだ。
はじめましての方は初めまして、僕の作品を前から読んでいる方はこんにちは、猫鼠しんごです。
今回ペンネームを変更して最初の新作となります。まだこの時点でプロローグですが、これからどんどん出していきますよ! 第一章の投稿は来週の水曜日です。
ってか、自分の誕生日に新作発表って、自分へのプレゼントじゃねーかっ!
今、この作品の進み具合がよく、どうにか続けられそうなので。
そして、タイトル。まぁ、前からあの作品にあこがれを持っていたので・・・。大好きな作品と少しでも似たようにしたいという気持ちが勝ってしまいました。すみません。
今回異世界ものとしては何作品目でしょうか? 僕転(新人賞落選作品)・・・レジスタンス・・・僕転の番外編・・・三作品目ですね!
でも、今過去作品を読み返すと、段落や誤字脱字の量が半端ないですね。本当に今までの作品を見てくださった方々、アドバイスをくださった皆様、そして、今回初めてだという方の皆様、本当に僕の作品を見に来て下さり、ありがとうございます。
さて、少しこの作品のことについてお話いたします。
この作品は、実は一番最初に作った僕転よりも前に、僕がラノベを書きたいと思った頃に、前持っていたミニノートパソコンでテンプレートを書いていた時に付けたタイトル。大好きな作品に近づけたい一心で作品のテンプレを書いていきました。それが、いつの間にかファイルの場所と名前がわからなくなり、見つからなくなってしまいました。
そして、落ち込んでいた僕は新作のテンプレを書きました。それが落選作品、僕転です。
そんなこんなで、駄作品を出し続けていき、こんな僕にイラストを描いてくれて、プレゼントしてくれる人も出てきました。イラストをもらった時は本当にうれしかったです。本当に涙を流すほどでした。
そして、いろいろと昔のパソコンを弟に上げる時が来て、ファイルの整理をしている時に、この作品のテンプレを見つけ、少し書き換えて、ここまで来ました。昔のファイルが見つかるなんて、本当に運がいいですね僕は・・・。
そして、とあるアニメ映画十月六日に公開された映画が終了後、僕も興奮していたんですね。この作品を投稿することに決めました。好きな作家さんに近づくために必死に書いている自分の姿を何度も思い出してしまって少し恥ずかしいですが、この作品は今までのよりはいい作品にしていきたいと思います。
またあの映画見に行こうかな~。
今回もファンタジーということですが、今回も美女という人物を出していきたいと思います。
本当にすみません! ・・・でも、美女は美女でも、少し怖い設定にしている人物も出てきます。これからをお楽しみに・・・。
誰もが憧れる異世界、そして誰もがなりたくない死んでばっかりの主人公。そんな物語にしていけたらと思っています。
最後ですね。本当に、今まで応援してくださってくれた皆様、今回が初めてだという方々の皆様、本当に僕の作品を読んでくださりありがとうございます。
これからも末永く、頑張っていこうと思っている所存です。
そして、これからもよろしくお願いします。それでは・・・。
2018年11月7日 猫鼠しんご




