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メルヴィナ・リンフォード

「またお前か。毎日よく飽きないな」

 いつもは無表情を貫くリンフォードも、この時ばかりは呆れ顔になる。リンフォードはベンチに腰掛け、小休止を取っていたのだ。

 そんな事などお構いなしで、メルヴィナはリンフォードをやんわり押し退けるようにしてベンチに侵入する。二人掛けのベンチ、その真ん中に座っていたリンフォードは、押しやられるまま端に動くしかない。

「お前じゃなくてメルって呼んで。メルは貴方をリンって呼ぶから」

 これ見よがしに溜息を吐いたリンフォードに、メルヴィナはむうと眉根をひそめる。

 リンフォードは顔を背けると、もう一度溜息を吐く。

「随分と気安くなったな」

 そう呟くと、ちょいちょいと袖口を引っ張られた。ちらとメルヴィナの方を向くと、少女の眠たげな視線がぴたりと合わさる。

「じゃあ……リンさん?」

「さんを付ければいいって物じゃない」

「リンくん」

「勘弁してくれ」

「リン様」

「一番嫌だ」

 むうと眉根をひそめ、メルヴィナは考える素振りを見せる。

「じゃあ、やっぱりリンでいいんだ」

 やんわりおっとりと話している癖に、自分の主張はしっかりと通してくる。メルヴィナのいつもの手だと、リンフォードは本日三度目の溜息を吐いた。


 なかなか離れないメルヴィナの様子にリンフォードは、自分が立ち上がることで離れようと考えた矢先のこと。

「……ねえ、リン。あれなに?」

 メルヴィナの指さす先には、新しいHFが倉庫へと輸送されていく様子が窺えた。

「パンフであったやつと、全然違う……」

 その様子にリンフォードは思わず、苦笑を浮かべる。

「パラディンだよ」

「パラディン? ガーディアンじゃなくって?」

「パラディン。形式番号、HF-F-55004CC。まあ、指揮官用のカスタム機だな。教員や成績の良い奴に回すって言ってたな」

「カラーリング、自分でしちゃっていいの?」

 その食いつきっぷりに内心笑いながらも、リンフォードは。

「その前に、お前『スカルアングラー』とか『スクリームワイバーン』とか理解してるのか?」

「…………新しいHF?」

「残念! ハズレ」

 その言葉にメルヴィナは、目を丸くする。

「ちょ、それ、なんなの!?」

「それを学ぶために来てんだろ?」

 こつんと、軽くメルヴィナの頭を小突いて。

「さてっと、俺もそろそろ仕事に戻るか」

「あ、ちょっと待ってよ!」

 付いてくる素振りを見せるメルヴィナにリンフォードは、こう告げた。

「その前にやることがあるんじゃないか? 俺に付いてくるなら、それくらいパーフェクトで答えられるようになってくれ」

 そう立ち去るリンフォードをむっとしながら、見送るメルヴィナ。

「………………絶対、パーフェクト取ってやるんだから」

前半キャラSS作成:秋久 麻衣さま


●学生設定

・名前 メルヴィナ・コレス

・性別 女

・年齢 14歳

・容姿

肩口まで伸びた銀髪が特徴的。きちんと手入れをすればもっと良く見えるのだろうが、本人にやる気が無いため大体伸びたい放題になっている。前髪が目に一部かかっていても、本人はあまり気にしない。

身長は年相応だが、第二次性徴によって身体付きはそこそこ女性らしいフォルムに近付いている。

彼女にとってはコンプレックスの一つでもある。

・一人称

基本的に「私」。素が出ている時、油断している時、友人の前などでは愛称である「メル」を一人称に使う時もある。

・口調

基本的に気怠そうに喋る。極度のマイペースであり、周りの空気などどこ吹く風で過ごす。ただ、どこ吹く風で過ごしているが聞いている事は聞いているし考える事は考えている。

いつでもぼうっとしていると、甘く見て軽視しない方がいいタイプの子。

・台詞例

「……私はいいよ。ここで寝てるから」

「別にいいでしょ。私は、私の好きにやるんだから」

「違うよ、メルは無愛想じゃないもん。愛想を貯めてるの」

・入学理由

一つは家から出るため。もう一つは、とある人物を追い掛ける為である。

・設定

何不自由なく育ったメルヴィナにとって父の死はあまりに突然だった。死後の処理に追い立てられるような生活が一年程続いた時に、新しい父がやってきた。

新しく来た父は確かに優しかった。疲れた母も、そういう笑顔に癒されたのだろう。

ただ、メルヴィナにとっては他人に過ぎない。そして、新しい父から見たメルヴィナもまた、他人に過ぎないのだ。

身体の成長が始まってからというものの、父の視線が怖くなった。

他でもない本人はそう思いたくはないだろうが、メルヴィナは十四歳にしては落ち着いており、どこか大人びた雰囲気を持つ少女だ。目鼻立ちが整っている事もあり、かわいいというよりは綺麗という印象を見る者に与える。

それに加えて、身体は段々と女性らしくなっていく。新しい父の目が、日に日に怖くなっていった。

だから、メルヴィナはあまり家に帰らなくなった。出来るだけその視線を避ける為に、当てもなく外を彷徨くようになる。

そこである人物と出会い、一目惚れに近い形で好意を抱く。

その出会いによりやる気スイッチの入ったメルヴィナは、普段は全く使っていない脳細胞をフル活用し、その僅かでしかない縁を半ば強引に繋げ続けた。

そして、しまいにはその人物の勤め先となる場所も割り出し、生徒としてそこに入るべく努力を重ねる。

家からの脱出と思い人の追跡を同時に果たしてみせた、本気を出させるとおっかないタイプの少女である。

HFへの適性も充分、基本的な事は殆ど頭に入っている。

銃撃が苦手分野であり、近接兵装で強引に殴った方が手っ取り早いと考えているタイプ。

操縦の練度は高い方だが、協調性があまりない。その辺りが克服すべき点か。

愛称は「メル」。仲の良い友人や、仲は良くなくともぐいぐいくる友人はこう呼ぶ。


●スタッフ設定

・名前 リンフォード・ラスキン

・性別 男

・年齢 二十八歳

・容姿

銀髪を短く切り揃えている。執拗に鍛えられており、その様はしなやかな猛獣を思わせる。過剰に鍛えられている訳ではなく、‘仕事に必要な分だけ’鍛えられている。

不必要を削ぎ落としたその体躯は、やはり猛獣と表現するのが相応しい。

・一人称

基本的に「俺」、誰に対しても「俺」、ある種清々しい。

・口調

そもそも無口。必要な事をぶっきらぼうに、或いは吐き捨てるように言う。

・台詞例

「特に言う事はない。好きにしていろ」

「俺はただの用務員だ。他に聞きたい事はあるか?」

「戦い方は教師に聞け。俺には勤まらん」

・職種

用務員。施設の管理維持などを行う。とても無愛想な用務員さん。

・(あれば)得意な攻撃方法

自身の肉体を使った戦闘行動に加え、HFの操縦も可能。だが、一番得意な攻撃は‘対人’に特化している。

・(あれば)過去(英雄譚)

彼自身は話したがらない。だが、過去の大戦時に裏で戦っていたのでは? と噂されている。

外敵を相手にするのではなく、「人類が外敵に対抗する為に、協力しあわなければいけない状態を維持する」為に戦っていたのでは、と。

即ち、彼のいる部隊は密命を受け、「人類の総意」から反発する者達を相手に戦っていた。

という、噂話が囁かれる程度である。

・設定

軍人として鍛えられたリンフォードは、ある種盲目的に職務へ没頭していた。

大義の名の下に殺しの技術を身に付け、それを任務という形で披露する。

そんな事を繰り返していく内に、彼は本当の歯車になってしまった。

あの戦線の時もそうだった。命令に従い、闇に紛れ、真実を偽装し、手を汚し続けた。

そして世界が一つになった時、リンフォードは居場所を失った。もう人間を狩る必要はなくなったのだ。

錆び付いた心が、歯車と化した心が動かなくなってしまった。

灰色の日々を過ごす中、リンフォードはとある少女を見掛ける。

三人の男性に執拗に声を掛けられ、怯えきっているメルヴィナ・コレスだ。

見て見ぬ振りをしてその場から去っている人達と、怯えた少女を見遣り、リンフォードは考えた。

ああやって震えている目標も撃った事があるな。そんな事を漠然と思いながら、今はどうだろうと考えたのだ。

任務も命令もないが、戦える力だけは残っている自分を顧みて、リンフォードは結局三人の男性をのすという選択を選んだ。

その日以来、リンフォードはメルヴィナに付きまとわれる事となる。

そんな中、旧友から連絡がある。とある艦のスタッフに、お前を使いたいという内容だった。手に職もなく、やりたい事も特にはない。了承し、書類をまとめ、現地に赴いて。リンフォードは初めて無表情を崩し、唖然とした。

学生服を身に着けたメルヴィナが、待ってましたと言わんばかりに微笑んでいたからだ。

愛称は「リン」。だが、現在この愛称で呼ぶのはメルヴィナとクレイグだけである。


上記2キャラ発案:秋久 麻衣さま



●敵の名前

名前:スカルアングラー

概要

チョウチンアンコウに似たエイリアン。口が裂けた巨大な頭部、そして頭から尾にかけて肋骨の様な甲殻で覆われているのが特徴。

HFすら飲み込んでしまうほど貪食であり、動くものを積極的に襲う。体躯に見合わず素早く宇宙空間を泳ぎ回り、4枚のヒレを用いた変則的な動きも行う。しかし目は完全に退化しており、優れた聴覚と額から生えた感覚器で周囲の様子を伺う。同時にそれが弱点でもある。

噛みつき攻撃の他、HFの装甲すら溶かす溶解液を放つ。


●敵の名前

名前:スクリームワイバーン

概要

翼竜に似たエイリアン。下顎が2つに分かれており、戦闘機の主翼の様な翼、ブレードの様な脚を持ち、尾は鞭の様に細長い。

地球に初めて訪れたエイリアンの生き残りであり、右目は潰れ、左の翼が欠けている。HFのレーダーを狂わせる程の咆哮を放ち(実際には音波状のビームを前方超広範囲へ放つ)、至近距離で喰らえば機体が損壊してしまう。高速で飛行し、脚のブレードで斬り裂く戦い方を取る。

知能も高く、隊長機を積極的に狙ったり、武器のレンジや特性を学習したりと、狡猾な面も併せ持つ。



●機体

名前:パラディン

形式番号:HF-F-55004CC

全高:8.9m

動力:高出力バッテリー 小型補助バッテリー

色:白色、銀色

武器:HF-FW-906ビームスピア×1

HF-FW-806ビームキャノン×1 HF-FW-606ビームライフル HF-FW-506頭部ビームバルカン×2 その他ガーディアンの武装を使用可能

概要

ガーディアンをベースに製造されたヒロイックフレーム。ガーディアンⅡ、Ⅲ、Ⅳと、ベースになっている機体がバラバラな場合があるが、名前はパラディンで統一されている。代わりに型番で区別されている。

パラディンは主に指揮官、エース仕様に改造されているが、独自性のあるオーダーメイドカスタム機とは違う改修が施されている。

頭部には通信用ブレードアンテナが追加され、機体に使用されているフレームや装甲材は量産されている中でも特に良質なものを使用。スラスターも増設され、推力も増加した。それらを補う為に小型補助バッテリーが搭載されている。これらの仕様を統一している事も特徴である。

武装もガーディアンの物を流用可能であり、更にリーチに優れたビームスピア、破壊力に優れたビームキャノンなどを使用出来る。

基本的には最新型であるⅣ型がベースになっているが、Ⅱ型やⅢ型ベースのものも存在する。理由は様々だが、中には敢えて旧型ベースのパラディンを使用している者もいるとか……。

CCはCommander custom(コマンダーカスタム)の略。


上記敵の設定・機体発案:雑用軍 少尉さま




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