怪獣学
校長室で書類作業を行っているのは、銀髪の若い校長。
ちょっとウンザリしているようにも思える。
「はあ、ずっとデスクワークしてると、気が滅入るね」
「ですが、この書類を処理しなくては、この船も動きませんし、学園も始まりません」
秘書であるルクレツィアに突っ込まれ、校長は苦笑を浮かべた。
「そうだね、とにかく、終わらせないと……ああ、新しい教科申請も来てるね」
興味深い書類を見つけ、校長は少し表情が明るくなったように見える。
「なになに、『怪獣学』か。……なるほど。まずは敵を知ることからってことか。いいね。それに伝説の生物についても学ぶっていうのか。こっちは役に立つかわからないけど、まあ面白いから認可っと」
そういって、校長は、ぼんっといい音を鳴らして新しい印鑑を押した。
「校長、印鑑押すの好きなんですか?」
「好きか嫌いかと言われると、好きかな」
眼鏡をくいっとしながら、ルクレツィアが言うと、校長は不思議そうに見つめ返した。
「君も押してみる?」
「いえ、遠慮いたします」
校長はもう一度、先ほどの書類に目を通して、採用の箱に入れたのだった。
怪獣学
既存の生物学には収まらない「敵」への対抗策のする為に、敵の死体からわかったことをまず教える。
その後、既存の生物との差からさまざまな推測を交えて今後の調査のためにあれを調べたい、これを調べたい、という要望が学者系の教師によって語られる。
また、伝説上の生物についても真面目に考察や検討がなされる。竜とは、古代に発見された敵の事だったのでは、など。
真空中で生存できるため酸素の呼吸は必要としていないが、逆に大気のある惑星への接近を忌避する傾向があるなど、今後の戦闘に使用する武器開発に活かせる研究結果もでている。
教科発案:地空乃いいちこ さま