傍若無人な子供達
発作的に書きました。
「なー、おっちゃん、恋人に逃げられたらしいよ」
「え、そうなん。ちょっと良い感じやったのにね」
「そうかぁ?俺はダメ思うとったよ」
三人の子供達は窓からこっちを覗き見て好き勝手な事を言っていた。
俺は、無視を決めつけるとずるずるとカップ麺を啜る。何を言おうと効果がないのが分かっているからだ。
「まね。前ここ来た時、私ら見て顔ひきつらしてたもんな。感じ悪いわー」
オカッパ頭の女の子が少し頬を膨らませる。
「あんなんがおっちゃんの恋人なんてちょっとおもろないなぁ」
真っ赤なほっぺの腕白ぽい男の子が相槌をうつ。
「おっちゃん、かわいそうやなー」
頭にお洒落な白いリボンをつけた女の子が少し同情したように言う。
煩い。本当に煩い。
人の部屋を覗きこんで言いたい放題だ。
俺は三人を睨み付ける。
八百屋に並ぶスイカのように三人の顔が窓にきれいに並んでいる。
俺と目が合うと三人ともニィーと歯を剥き、笑ってきた。
駄目だ。
駄目だ。
こいつらに何をいっても聞きはしない。
無駄なことは止めよう。
俺はカップ麺の汁を飲み干すと、流しに放り出し、鍵をとる。
「なんや、おっちゃん、出掛けるんか」
男の子が口を尖らせた。
「いやん、もっとお話ししたい」
リボンの女の子が少し悲しそうな声を上げる。
「なんか、お土産買ってきてな」
とは、オカッパの子。
俺は、ベランダの窓から顔を覗かせる子供達に向かって中指を立てて見せると、そのまま玄関のドアを勢いよく閉める。
全く腹立たしいガキどもだ。
イライラしながら俺は階段を三階から一階まで一気にかけ下りる。
そして、小さなため息をつく。
全く、俺は何でこんなハズレ物件を引いちまったんだ。
2018/01/24 初稿
2018/04/11 誤記修正
ただ、勢いだけです。