表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雪、雪、深々と  作者: シヲンヌ
本編
1/4

この話では仕様、つまり基準として平仮名で書くような場所をわざと片仮名で書いています。非常に読みにくいことこの上ないのは重々承知していますが、あくまでも仕様のため、仕様なのだと割り切って読んでください。

窓ノ向コウハ一面ノ白ダッタ。天カラ降リテキタ白ニ飲ミ込マレタ城代町ハ往々ノ雑踏ニ変化ガ見ラレテイタ。皆折々ノ外套ヲ着込ミ、帽子ヲ深ク被リ、マフラー等ノ防寒具デ肌ヲ隠シツツ下ヲ向イテイルノダ。小股ニセカセカト歩ヲ進メル人々ニ、コノ前ニ見タ南極ノモノクロフィルムニイタペングィンナルモノガ眼下ニ映ルヨウナ気ガシタ。






不意ニコンコント小気味イイ木ノ音ガ響ク。入室ノ合図ヲ送ルト板ノ向コウカラ、青年ガ姿ヲ現シタ。

「蜜柑ヲ持ッテキタヨ、好キダヨネ姉サン」

暖カク微笑ンデ部屋ニ入ッテキタ青年ハ、オ盆ノ上ニ緑茶ト蜜柑ヲ2ツズツ載セテイタ。

ソシテ僕ノ隣ニ座ルト、心配ソウニ僕ノ顔ヲ覗キ込ンダ。

「気分ハドウ?(モット)モ今日ハ雪ガ降ッテイルカラ退屈シナイデ済ミソウダケド」

「大丈夫、ダヨ?」

具合ハ良カッタシ、彼ニ心配ヲ掛ケタクナカッタカラ僕ハソウ言ッテ微笑ミ返シタ。ドウヤラ効果ハアッタヨウデ、彼ハ瞬時ニパット顔ヲ明ルシタ。ソシテ蜜柑ヲ食ベルカ聞イタノデ僕ガ頷クト、楽シソウニ皮ヲ剥キ始メタ。蜜柑ノ皮ヲ剥クコトッテ、ソンナニ楽シイコトダッタノカナ。アマリ上手ク理解ハ出来ナイケレド、ソノ顔ヲ見テイルコトハ悪イ気ガシナイカラ別ニ良イカ。






綺麗ニ剥ケタ蜜柑ハ、トテモ鮮ヤカナ橙ヲシテイタ。薄皮ニ小粒ノ実ガ張リ合ッテオリ、水滴ガ滲ンデイル。ソンナ蜜柑ヲ見テ、ツイ僕ハ唾ヲ飲ミ込ンダ。

彼ハフフット笑ッテ小首ヲカシゲル。

「欲シイ?」

僕ハ勢イ良ク頷イタ。

「分カッタ。ジャア少シ待ッテテネ、姉サン」

ソウ言ッテ彼ハ小皿ニ蜜柑ヲ載セルト、ソノ小皿ヲ持チ上ゲテ僕ノ方へ体ヲ傾ケ、

「ハイ、アーン」

僕ノ口ニ蜜柑ヲ近ヅケタ。・・・自分デ食ベルツモリダッタンダケド、ドウイウコトダロウ?デモ、彼ガ余リニモ真剣ナ顔デ蜜柑ヲ差シ出スカラ、僕ハソノママ食ベルコトニシタ。

口の中ニ瑞々シイ感触ト甘味ガ広ガリ、時折刺スヨウニ酸味ガ僕ノ舌ヲ駆ケ巡ッタ。コノ感覚ガ、嬉シクテコソバユクテ体ヲ左右ニ振ッタ。

「美味シイ?」

僕ノ様子ガソンナニ面白カッタノカ、彼ハ先程ヨリモニコニコト笑イナガラ僕ニ聞イタ。僕ハ少シ恥ズカシクナッタカラ、顔ヲ隠シナガラモ小刻ミニ頷イタ。彼ハトテモ幸セソウニ微笑(ホホ)ンダ。ソシテユックリト唇ヲ開キ出ス。

「アノサ、姉サ――」







ボーン・・・ボーン・・・

窓ノ外カラ時間ヲ告ゲル鐘ガ鳴リ響イタ。今日ハ雲ガ満チテイルカラ、オ天道様ハ見エナイ。ダケドソロソロ初等ノ児童タチガ帰ッテ来ル時間ダトイウコトハ解ッテイタ。彼ハコノ鐘ノ音ヲ聞クト慌タダシク立チ上ガッタ。ソシテ僕ノ左手ヲ両手デ包ミ込ムト、真ッ直グニ僕ヲ見タ。

「ジャア俺ハモウ行カナクチャイケナイカラ、マタ後デ来ルネ姉サン」

僕ハコクリト頷イタ。彼ガコウ言ウトキハマタカナリ会エナクナル合図ダケド、用ガアルナラバ仕方ナイ。僕ガ引キ留メルノハ、彼ニ迷惑ヲ掛ケルコトニ繋ガル。優シイ彼ガ不都合ナ目ニ遭ッテハイケナイ。

「僕ハ大丈夫デス。イッテラッシャイ」

ダカラ僕ハ彼ニ心配掛ケマイト微笑ンダ。ナノニ。

彼ハ何故カ痛ソウナ顔ヲシタ。デモソレハスグニ消エテ、マタ優ソウナ顔ヲシタ。

「今度ネ、久シブリニ休暇ガ取レソウナンダ。姉サン何カヤリタイコト、アル?」

ソウ左手ヲ撫デナガラ彼ハ僕ニ言ッタ。僕ト何カヤルコトヲ、心底楽シミニシテイルノガ伝ワッテクル。ダケド特ニヤリタイコトハナイ。デモ折角ノ休ミナラ、ドウシテ?

僕ノ所ニ来ナイデ別ノ場所ニ行ケバイイノニ、何故僕ト一緒ニ過ゴスノダロウ。

トニカク、早ク考エナクテハ。ソウダ!

「ナンデモイイノ?」

「良イヨ、何ガシタイ?」

「アノネ、僕ネ、マタオ外ニ行キタイ!」







「マタ前ミタイニ皆デ勉強シタイ!イッパイ遊ビタイ!ソウダ、今度ネ皆デ帝国公会堂ニ見学ニ行クカラ、計画ヲ立テナイト駄目ナノ!良イ?良イヨネ?ドコデモ良インダヨ」

ソコマデ言ッテ、僕ハイツノ間ニカ手ガ離レテイタコトニ気ガツイタ。イキナリドウシタノダロウカ、僕ハ彼ノ顔ヲ見上ゲタ。

彼ハトテモ痛ソウナ顔ヲシテイタ。マタダ、マタ先程ト同ジ顔ヲスル。

マルデ鋭イ何カデ胸ヲ貫カレタヨウニ、トテモ、トテモ痛ソウナ顔。特ニ胸ノ辺リヲトテモ,服ニ皺ガ残ルクライニ、握リ締メテイテ辛ソウダッタ。ドコカ悪イノ?ソウ聞クト、彼ハフニャリト笑ッタ。

「ゴメン、ゴメンネ。ソレハ、デキナインダ」

「ナンデ?」

「ソレハ、ソレハ、・・・マダ、マダ学校ガ始マラナイカラネ!」






「始マラナイノ?」

僕ガ質問スルト彼ハ大キク頷イタ。

「チョット先生タチガ忙シクテ駄目ナンダッテ。ダカラ、オ家デ俺ト・・・何カシヨウカ!」

「ウン、ワカッタ」

忙シイナラショウガナイ。行ケナイノハ残念ダケド、我慢シナキャ。皆トイッパイ楽シイコトスルタメニモ!

フワット蜜柑ト檸檬ノ香リ鼻ヲクスグッタ。彼ガ僕ヲ抱キシメタンダトスグワカッタ。

ガシガシト乱暴ニ頭ヲ撫デラレルカラチョットムズ痒イ。

「ゴメンネ、ゴメンネ姉サン・・・。デモ今度ノ休ミハズット一緒ニイルカラ。一人ニシナイ、寂シイ思イナンテ絶対ニサセナイカラ」

ソウ彼ハ僕ヲ元気ヅケルヨウニ言ッテイタ。泣イテイル子供ヲアヤスヨウニ。デモソレハ僕ジャナクテ別ノ人ニ言ッタ方ガ良イコトハワカッタ。元気ヅケルベキ人ノ震エル背中ヲ撫デ返シナガラ、僕ハ漠然ト考エテイタ。






ナンデ彼ハ僕ノコトヲ[姉サン]ト呼ブノダロウカ、ト。







普通僕ヨリ年上ノ弟ナンテイル訳ガ無イ。ソレニ僕ニハ確カニ弟ガイルケド、アノ子ハマダ僕ト同ジデ十歳。目ノ前ノ彼ハ明ラカニ大人ノ人間ダ。僕ヤアノ子ヨリズット年上ナノダ。








ソウイエバ、最近メッキリ会ワナクナッタケドアノ子ハ元気ニシテイルノダロウカ。



この話のベース文字が片仮名なのは仕様です。



-----------------------------

そういえば『この話』って打つとき、何でかわからないんですけど『子の話』って自動変換されるんですがなんでなんでしょうか・・・

僕プリンターは諦めるからせめてPCとは仲良くしたい・・・(白目)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ