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どれだけ重ねても、理子の『好き』は崩れなかった。
それが積み木のような厚さなら、当に私の身長は越えていただろうと思う。一ミリのズレもなく、寸分の狂いもなく積み上がって、これから先もきっとそれは更なる高みを目指して、ひとつまたひとつと増えていく――。
いつ完成するとも知れない、けれども決して崩れることのない塔。
永遠の姿。
完璧な形。
それは私の憧れる、追い求めるものそのものだった。
テストで満点を取ることよりも、スタイルを維持することよりも、ずっと魅力的で、恒久的なものだった。
でも。
本当にわずかな誤差もなくこれからも積み上がっていくのか――その保証はどこにもなかった。