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「勝手に食べればいいじゃない。私は私で食べるから」
「私より先生に訊いたほうが早いんじゃない?」
「悪いけど、予定があるから」
私はそんな風に答えて、いつもまともに相手をしなかった。
それでも理子は何かにつけて凛、凛、と私に声をかけては、一緒にいたがった。
ごはんを一緒に食べる友達はたくさんいるのに、宿題にしても放課後遊びに行くにしても同じで、私でなくてもいいはずなのに、理子はそうしなかった。
もちろんその理由も私は知っている。本人の口から直接聞いていた。聞き知った上で、私は理子にまともに向き合わなかった。理子も理子で気持ちを伝えた上で、私に接していた。