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  作者: 新々
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「あたし、凛が好き。大好き。ねぇ、凛。お願い。あたしに一生懸命になってよ。凛に嫌われるなんてイヤだよ。そんなの耐えられないよ。お願い、凛。嫌わないで。好きになって。なんでもするから。あたしも一生懸命になるから。ねぇ、凛。お願い。お願いだから、大嫌いなんていわないでよ……」

 そこで理子は栓が外れたように声を上げて泣いた。

 溢れるその声となみだに、私をせきき止めていた何かが、一気に押し流されていった。

 そっと理子を抱きしめて、いうはずだった言葉を口にする。


「もういわないよ。ごめんね」


 幼い頃、目の前でなんども積み木が崩れていくのを見て以来、私はいつかやって来る崩壊を恐れてしまった。喧嘩もいじめもつまりは関係の崩壊で、だからそんないつかの来ない永遠を、崩壊とは無縁の完璧を、私は求めていた。望んでいた。追いかけていた。

 でもそれは手に入れることではなくて、今あるものをきれいに整えることでも、ましてや新しく創り上げることでもなかった。

 ただ傷つけたくないだけだった。

 無傷なままでいられるものを、私は求めていたのだ。

 それこそが永遠であって、完璧であって。

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