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でも理子はしばらく振り返らなかった。
それでもなお、私は何もいえなかった。
ふいに理子が私の手をぎゅっと握り返してきた。と思った矢先、振り返りざまに抱きつかれた。
「凛、凛」
肩口に顔を埋めた理子が、震えた声で私の名前をなんども呼ぶ。
秋の冷たさが漂う中、理子の身体は春のように温かかく、重なり合った胸からは理子の気持ちが直接私の中に入ってきた。全身に響くその音は、私のものなのか理子のものなのか、私にはわからなかった。
でも理子はしばらく振り返らなかった。
それでもなお、私は何もいえなかった。
ふいに理子が私の手をぎゅっと握り返してきた。と思った矢先、振り返りざまに抱きつかれた。
「凛、凛」
肩口に顔を埋めた理子が、震えた声で私の名前をなんども呼ぶ。
秋の冷たさが漂う中、理子の身体は春のように温かかく、重なり合った胸からは理子の気持ちが直接私の中に入ってきた。全身に響くその音は、私のものなのか理子のものなのか、私にはわからなかった。
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