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そこまでいった後で、理子は大きく息を吸い込むと、
「おばあちゃーんっ! 聞こえるーっ?」
と、いきなり大声を出した。
そして私の手をいっそう強く握って、こう叫んだ。
「この人が、あたしの好きな人だよーっ。おばあちゃんみたいに、ずっとずっとずーっと好きでい続けるから、ちゃんと見守っててねーっ!」
理子の声はあたりに響き渡って、山びこのようにしばらく残った。
「ずっと前にね、おばあちゃんと約束したの。好きな人ができたら紹介するねって。でも、おばあちゃんが生きてる間はできなくて、だからそれがちょっぴり心残りだったんだけど……今日ね、おばあちゃんの命日なの。本当はお墓の前で凛のこと紹介したかったんだけど、さすがに無理だから。ここなら、おばあちゃんに届くかなって」