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そこで理子は振り返って、陽が沈もうとする遠くの山を指した。
「あの山の、ずっとずっと向こうにね、あたしの大好きなおばあちゃんが眠ってるの。これはおばあちゃんとあたしとの秘密だったんだけど、凛にはいうね。おばあちゃん、おじいちゃんの他に好きな人がいたんだって」
唐突に話題が変わってちょっと困惑しながらも、私は黙って理子の話に耳を傾けた。
「その人はおばあちゃんの幼馴染で、いつも一緒にいたんだけど、結局一度も好きっていえないままおじいちゃんと結婚して、その好きな人も別の人と結婚しちゃったんだって。でも、お父さんが生まれて、あたしが生まれてもまだやっぱりその人のことが好きで、本当にずっとずっとずーっと、好きだったんだけど、でもやっぱり告白できないまま、おばあちゃん死んじゃったの。おばあちゃんの好きな人、女の人だったんだって」