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いわれなくても、永遠がないことなんて知ってる。
完璧が存在しないことなんてわかってる。
知ってるから、わかってるから。
求めてきたのに。追いかけたのに。
それなのに、理子は。
理子は。
「じゃあ感じて、あたしの気持ち」
そういって理子は私の手を取り、自分の胸に押し当てた。規則正しい、けれどもいくらか早い理子の気持ちが、手のひらを伝って私の中へゆっくり流れ込んできた。
「感じる? 凛といたり、凛のこと考えたりしてるとね、いつもこうなんだ。ドクンドクンって、ずっとね、止まらないんだよ」
「ずっとって、私に逢う前からだってそうだったでしょ」
「そうだよ。だからこれからも、ずっとそうなんだよ?」
花でも咲くように、理子がふっと笑う。