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「好きだから、わかるよ」
「そんなの理由に」
「なってないっていいたいんでしょ? たしかに理由になってないかもしれないけど、じゃあ理由があれば納得してくれるの? 信じてくれるの? 凛はさ、ちょっと臆病なだけなんだよ」
「臆病なんかじゃない。私は本当に理子が嫌いで――」
「じゃあ一生あたしのこと嫌いでい続けられる?」
そのひと言に、私の言葉は行き場を失った。
「ねぇ、凛。変わらないものってないんだよ。太陽だって傾くし、季節だって移って行くし、人だって大きくなるし、齢を取るし、いつかは死んじゃうし。ずっととか、このままなんて、そんなのきっとないんだよ」
「だったらなんで好きでい続ける、なんていえるのよ」




