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いつか諦めてくれると思ったから。
そのうち飽きられると思ったから。
「無視もしなかったし、怒らなかったし。凛ってさ、ウソつくの下手だよね」
「ウソなんてついてない。私は本当に」
「だったらさ、なんで逃げないの? なんで突き放さないの?」
「――ッ!」
柵にいたはずの理子は、いつの間にか私の目の前にいた。
「口ではなんとでもいえるんだよ?」
「……理子だって同じでしょ。私のこと好きって……口だけじゃない」
「じゃあ態度で示したらいいの?」
子供っぽく、無邪気に小首を傾げる。私は何もいわず、理子から視線を外した。
同じ高さに並んだ彼岸花が、視界を紅く埋め尽くす。