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「そっか。凛はあたしのこと、そんなに嫌いなんだ」
「そうよ。わかった? わかったならもう私になんかに構わないで。声なんてかけないで。近寄ってこないでっ!」
「それは無理だよ。だってあたし、凛が好きだから」
いい返そうと口を開いたけど、言葉は何ひとつ出てこなかった。
「それにさ、凛はあたしのこと嫌いっていってるけど、それって本心じゃないよね?」
「はぁ? 何いってるの? そんなわけ――」
ようやく出てきた言葉は、でもすぐにさえぎられた。
「あるよ。だって本当に嫌いならさ、今日の誘いだって断ってるじゃん?」
「それは……理子に嫌いっていうために」
「本当に? でもそれなら今までだっていえたはずだよ。一緒にごはん食べてる時でも、話しかけた時でも。でも凛は、一回もいわなかったよね」
「それは」